第173話 めっちゃレベル上がるし!
41階層に着いた俺達は各パーティーで41階層に出現するモンスターであるダークナイトと戦った。
各3パーティーはそれぞれのスタイルであり、良い所もあれば、悪い所もあるような戦い方だった。
俺達≪魔女の森≫の良い所は連携の上手さとバランスの良さだ。
それでいて、火力特化パーティーであるため、悪くはないと思う。
一方で課題もある。
それは明白であり、レベル不足だ。
単純に適性階層以上の階層であるため、力不足なのである。
本来なら、こんな一大事は学生の俺達ではなく、プロの仕事だろう。
しかし、東京本部では≪正義の剣≫、≪ヴァルキリーズ≫、クーフーリン、あきちゃん、あと、いないけど、ユリコに≪教授≫。
これが最高戦力であり、他はほぼ使えないDランク共だ。
非常に不安なエクスプローラ共である。
ロクロ迷宮がなくなるのは嫌だし、それ以上にトランスバングルを入手しないといけない。
誰が反対しようと、行かなければならないのだ。
とはいえ、俺達は他のパーティーと比べて、モンスターを倒す時間がかかりすぎている。
他の2パーティーよりも倍の時間くらいはかかっているだろう。
先ほどもダークナイト3体を倒したところだ。
1回目の時よりは楽に倒せたが、それでも辛勝である。
「うーん」
「ルミナ君、お疲れ様。どう?」
俺がどうしようかなと悩んでいると、≪Mr.ジャスティス≫がねぎらいに来た。
「敵が強い。というか、俺らが弱い」
「それは仕方ないよ。君らのレベルではちょっとね」
だよなー。
「うーん。正直なところ、お前らだけで行けそうか?」
「ごめん。多分、無理。もうちょっと時間があればいけるけど、僕達はメイジがいないし、特化のヒーラーもいない。これまでサボっていたツケだよ」
≪正義の剣≫は治安維持をメインに活動していた。
最近は後輩育成に力を入れているらしいが、≪正義の剣≫は大手クランであり、人数が多い。
人数が多いということは、それだけ一人にかけられる時間が少ないということだ。
正直、微妙である。
そして、それは≪ヴァルキリーズ≫も同様であろう。
≪ヴァルキリーズ≫というか、サエコは≪Mr.ジャスティス≫に対抗しているふしがある。
まあ、大手クラン同士ということもあるだろうが、サエコは≪Mr.ジャスティス≫に勝ちたいんだろう。
同じ騎士だし。
「神条、今はお前らのスピードが遅いのはしょうがない。階層がかなりの上のモンスターにまともに戦って勝てるだけで十分にすごいと思う。ここまでの階層だとレベルも上がるのも早いからそのうちなんとかなるだろ」
俺と≪Mr.ジャスティス≫が話していると、サエコも話に入ってきた。
確かに、レベルが上がるのは早いだろう。
俺ですら、レベルが上がっているのだから。
「1ヶ月しかないんだぜ? 少数精鋭の方が良くない?」
「いや、それで50階層のボスを倒せるとは思えん。私らだって、レベルが40前後なんだ。≪正義の剣≫連中でも45前後だろう」
厳しいかもしれん。
いくら40~50階層とはいえ、1ヶ月では目安であるレベル50には届かないだろう。
「だね。正直、数で押すしかない。そのためには君らがいる。君らはバランスがいいし、火力が高い。中学生で火魔法lv5なんて聞いたことないよ」
まあ、それは俺も聞いたことない。
俺の弟子なんだぜ?
すごくない?
「あとは、お前の自慢の彼女。雷迅だっけ? あれは役に立つ。ショウコがやたら勧誘してた理由がわかった」
おい、こら、ショウコ!
勧誘すんなって言っただろ!
「ごめんなさいね」
ショウコはもう普通に人の心を読んでくるな……
「進みつつ、レベル上げかー」
一番良いのは俺のカボチャ爆弾で突破していくことだろう。
しかし、それは最終手段だ
こんな仕事は通過点だし、パワーレベリングで他の連中の成長を妨げたくない。
「しかし、こいつら、体力ねーからな」
俺は疲れているだろう仲間を見る。
まだ大丈夫そうだが、そう長くはないだろう。
「いや、元気なのは君だけ。僕達もそろそろ限界だよ」
「ダンジョンで連戦して疲れないのはお前だけだ、体力バカ」
よく見ると、≪正義の剣≫も≪ヴァルキリーズ≫+その他も疲れている。
実にふがいない。
「後先を考えずに突っ込むからだろ」
特にクーフーリンとあきちゃんのバカ2人。
「お前も突っ込んでるくせに」
「ルミナ君はそんな重いハルバートを振り回してて、何で疲れないの? 君、メイジだよね?」
お前らと違って、若いんだよ。
俺達はその後もダークナイトを倒しながら階段探しを続けたが、この日は階段を見つけることが出来ずに帰還した。
帰還後、翌日の朝からダンジョンにいくことに決定し、解散となった。
その日は皆、まっすぐ帰り、翌日に備える。
そして、翌日、再び、ダンジョンに挑んだ。
俺は前日と同じように、集団痴漢で40階層に飛び、ホワイトドラゴンを倒した。
41階層に行くと、前日と同様に、ダークナイトをローテーションで倒していく。
やはり俺達≪魔女の森≫は時間がかかったものの、ポーション等のアイテムは使い放題なので、確実に倒していった。
そうしていると、午前中には42階層の階段を発見した。
俺達は迷わず、42階層に行き、探索を開始する。
42階層では良いことがあった。
42階層では41階層のダークナイトが引き続き、現れたが、2体だけだった。
その代わりに、ダークナイトの後ろにはシャドウメイジが1体いた。
シャドウメイジは黒いローブにフードをした人型のモンスターだ。
しかし、フードでよく見えない顔は目が怪しく光っているだけで、実体はない。
このシャドウメイジは名前の通り、魔法を使う。
火魔法、風魔法、水魔法を中心に使ってくる強敵だ。
俺のプリティーガードがなければ…………
俺には、魔法を防ぐことが出来るプリティーガードがある。
これにより、シャドウメイジが無力化した。
シャドウメイジは魔法を使ってくるだけで、そこ以外は雑魚である。
41階層のダークナイト3体の時から見ると、難易度がグッと下がったのだ。
一人いないだけで、連携力は落ちるうえ、ダークナイトは役立たずなシャドウメイジを守ろうとするのである。
俺のプリティーガードのおかげだが、42階層の難易度はかなり低かった。
俺達はその日、43階層への階段を見つけたところで帰還した。
2日で42階層を終えたのは非常に順調である。
このペースで行きたいとは思うが、翌日の月曜はお休みとなった。
2日連続でダンジョンに行っているため、疲労は溜まっているし、地図の作成や情報の整理も必要だからだ。
月曜だから学校があるのだが、俺達は学校に行かなくてもいい。
出席日数は先生達がなんとかするらしい。
まあ、誤魔化すのだろう。
俺はダンジョン探索を終え、家に帰ってきた。
……シズルと一緒に。
シズル、ちーちゃん、カナタの3人は寮生だ。
そして、この3人は現在、実家に帰っている。
理由は簡単。
余計なことをしゃべるなということだ。
学校を休み、ダンジョンに行っている。
おそらく、他の学生もわかってはいるだろう。
だが、寮にいれば、話を聞きたくなる。
はっきり言って、現在の状況は対外的によろしくない。
だから、寮生の3人を実家に帰した。
現在、3人は実家から協会に通っている状況なのだ。
そして、明日は休みである。
だから、この人は泊まりに来たのだ。
「お前、お母さんに何て言って来たの?」
現在の俺達が学校に行っていない状況は当然、俺達の親は知っている。
ちゃんと許可をもらったのだ。
なお、俺の親は、最初は反対した。
学校にまともに行っていることだけが救いなのに、行かないのはちょっと……だそうだ。
ひどいよね?
そんな俺の親に対し、伊藤先生は春休みに休みなく勉強漬けにするので大丈夫ですと言った。
大丈夫じゃないよね?
俺の親はそれなら、まあ……だそうだ。
全然、良くないよね?
俺はちょっと納得がいかなかった。
「普通にルミナ君の家に行くって言ってるよ」
普通は友達の家に泊まるって言わない?
親の気持ちを考えたことある?
君は嫁入り前の女子だよ?
ってか、俺がお前の親に会うのが気まずくなるんですけど。
「ふーん」
まあいいか。
抱き枕さんが泊まっていくって言ってるんだから。
「それにしても、トップレベルのエクスプローラはすごいねー」
「いや、それに肩を並べるお前らの方がすごいがな」
お前に至っては、エクスプローラ歴1年だろ。
「すんごい足を引っ張ってる気がするけど」
「それはしゃーない。向こうもそれはわかってるってさ。まあ、昨日今日でレベルも上がっただろ」
俺でもレベルが2つ上がった。
そして、メルヘンマジックをレベル8にした。
覚えたのは、前にシロが言っていたウィッチカーズだ。
相手の動きが遅くなる。
----------------------
名前 神条ルミナ
レベル34
ジョブ 魔女
スキル
≪身体能力向上lv5≫
☆≪自然治癒lv6≫
≪空間魔法lv2≫
≪怪力lv6≫
☆≪斬撃lvー≫
☆≪魅了lvー≫
☆≪気合lvー≫
≪索敵lv3≫
≪罠回避lv2≫
≪冷静lv2≫
≪隠密lv5≫
≪投擲lv1≫
☆≪メルヘンマジックlv7→8≫
≪薬品鑑定lvー≫
☆≪使役~蛇~lvー≫
☆≪魔女の素養lvー≫
----------------------
☆≪メルヘンマジックlv8≫
魔女のみが使える魔法。見た目はメルヘンだが、強力な魔法を使えるようになる。
使用可能魔法
ラブリーアロー、パンプキンボム
ラブラブファイヤー、ラブリーストリーム
プリティーガード、ヘルパンプキン
マジカルフライ、マジカルテレポート
キューティーヘアー、ウィッチカーズ
----------------------
☆≪ウィッチカーズ≫
魔女の呪いをかけることができる。
呪われた相手は行動、思考力のすべてが鈍くなる。
----------------------
「私は3も上がったよ。カナタ君は4だって。あとキララさんは5も上がったんだって」
すごいわ。
さすがに41階層と42階層のモンスターに加え、ホワイトドラゴンを倒していると、レベルの上がり方がやばい。
「レベル上げ的には嬉しいけど、きついわ」
「だねー。私の攻撃が牽制にしかならないし」
シズルはスピードもあるし、忍法の威力は高いけど、素の力が弱いからなー。
「怪力を上げな。レベル1でもだいぶ違うから」
「そうする」
----------------------
名前 雨宮シズル
レベル23
ジョブ 忍者
スキル
≪身体能力向上lv5≫
≪疾走lv4→5≫
≪空間魔法lv2≫
≪度胸lv2≫
≪隠密lv4≫
☆≪忍法lv3≫
≪諜報lv3→4≫
≪投擲lv3≫
≪怪力lv1≫new
----------------------
「明日、新しい武器を買いに行こうぜ。俺も剣を買いたいし」
「あー。いいかもね。そろそろ買い替えの時期だし。ルミナ君は剣を買うの?」
「俺はハルバートがメインウェポンだけど、剣も使うからな。でも、さすがに寿命っぽい」
俺のロングソードは市販の物だが、結構いいやつだ。
しかし、30階層のタートルゴーレムのせいで、もう使えないっぽい。
「なるほどー。じゃあ、明日いこっか」
「そうしよー」
デートではないデートだ。
「じゃあ、今日はもう寝ようよ。疲れたし」
「だなー」
ちょっと早いが、俺達は休むことにした。
いやー、暖かいし、柔らかいわー。
あと少しだ!
攻略のヒント
ダンジョンに行く時はメインに使う武器とは別の武器も持っていこう。
戦闘中に壊れたりするし、メインとは違う武器を使っていると、新しいジョブが出てきたりするぞ!
『週刊エクスプローラ サブウェポンを持とう!』より
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます