第7話

 晩御飯の買い出しを済ませて帰ると寝室で白雪さんが着替えていた。

声をかけようとして固まってしまう。

華奢な体型に整った顔、儚さも感じる微笑。

美しい女性だと思っていたけれど。

洋服を脱いで露わになった肌は筋肉質で鍛え上げられている。

チョコレートみたいに割れた胸に下半身にないはずの膨らみ。

白雪さんは女性ではなかったのか。

驚きはしたが落胆はしなかった。

白雪さんは私がここに居やすいように配慮してくれているからだ。

座るところがないからとサイズが合う椅子を購入したり。

珈琲が好きなのに私が夜寝られなくならないように

カフェインを含むものを夜には出さないようにしていることも知っている。

そのほかにもたくさんあって言い切れないくらい。

白雪さんが女性でも男性でもこの想いに変わりはないけど。

同じようにかけがえのない存在だと感じていてくれたら良いのに。

望みは日ごとに重たくなって身動きが取れなくなってしまいそう。

男であることを知ってしまったことを気がつかれたら

何かが形を変えてしまうような気がして恐ろしくなった。

もう少しだけ秘密にしよう。

一緒に過ごす時間が長くなればなるほど

ここを出なくちゃいけない時が怖くなるけれど。

今はまだこのままでいよう。

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