第4話

 濡れそぼった子猫のような少女を家に招いた。

自分で着るには可愛すぎるかなと思っていたパジャマがよく似合う。

不健康そうに痩せ細った体を見てご飯を作り過ぎてしまった。

苦労していそうなナミちゃんをソファに寝かせるなんて

そんなことはできなくて。

口一杯に頬張る姿はリスみたいで愛らしい。

美味しそうにご飯を食べる顔に今日の嫌なことは吹き飛んでしまった。

寝室を覗くと小さな寝息を立ててナミちゃんが寝ている。

あのことに気がついてしまったら彼女は出て行ってしまうだろう。

この幸せな時間が無くなってしまったら地獄が待っている。

絶対にバレないようにしなくては。

「置いてかないで…」

伸ばされた手は何もない空間を探している。

苦しそうに呻きながら、こんな寝言が口を衝くほどの孤独。

誰かと一緒に過ごしたくて涙を流すなんて。

両親や周囲の人は彼女のことを見ていないのだろうか。

こんなにも愛情に飢えているこの子を放っておけるなんて非情な人たちだ。

手を繋ぐと安堵したように微笑んだ気がした。

空が白んできた明日も朝早い。もう寝ないと。

起こさないように床に座り仮眠することにしよう。

夢の中でナミちゃんと俺は家族になっていた。

この夢が現実になったら良いのに。

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