第12話  クレンザーが

視界と思考が 熱でぼやける

喉の乾きを 小雨が嗤う

長方形の夜空を見上げ

ゆっくり風を吸い込んだ


知らない匂い 知らない音

どの感覚も 当てにならない

乾きに痺れる手先が 触れる

眼鏡と鞄は あるらしい


視界のヒビを 小雨が嗤う

鞄は果たして 助けとなるか

ひっくり返して 改める


スーパーボールに ゴム手袋

ネズミたわしと クレンザーが

吸い込む夜に くしゃみした

師走の空気と わかった途端

肺の底まで 凍りつく


遠く朧気な 洗浄欲は

年瀬の清算か それとも残り香か

吸い込む夜に くしゃみした

ひどく喉が乾いている

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