第6話 愛だとか言って

ザワザワ揺蕩う波の隙間

君には夢を見せすぎた

鈍色した藻が 陽を遮り

鯨の雄大さも その背を荒らし寄生される

これらを内包する青も

所詮は空を映したに過ぎない


君のなにもしらない瞳には

美しさだけがふさわしい

「海に行きたい」とわたしは告げ

目前のそれは 偽物なのだと言い聞かす

在りもしない本物を いつか確かめに行くのだと

約束だけを口に含ます

最後に潮風を遮り 尊い感覚を塞がせた

愛だとか言って 塞がせて

罪に耐え兼ね わたしは消えた

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