第3話 春が終わる

君に気づいてもらうため

季節を纏った風になろう


春には桜の花弁を舞き

夏の緑に灼かれ

秋には紅の隙間を縫い

冬の木立を揺らして戯る


そよ風となり その頬を撫ぜるまで

潮風となり その手を引いて連れ出せるまで

巡り続けて時を待つ


また春が終わる

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