実行委員会にて
文化祭の出し物が決まったその日の放課後。
俺たちは委員会が行われる予定の教室に向かっていた。今回の委員会でそれぞれの自己紹介をしたり、決まった出し物を報告して問題ないかを決めるらしい。
「あれ?委員会ってこっちの教室だっけ?」
「いや、こっちじゃなかったっけ?」
「そうだったけ?」
しかし今、俺と七海は委員会の教室を忘れて彷徨っていた。このまま適当に教室をあたるより先生に聞きに行った方が良いと思い始めた時。
「君たち大丈夫?」
3年の色のリボンをつけた、身長が高くスラッとしたかっこいい系の先輩が話かけてきた。
「いやね、ずっと辺りの教室を見ながら迷ってる感じだったから少し心配でね。私で良かったら案内するよ。どこに行きたいんだい?」
「お心遣い嬉しいんですけど、自分達でも向かっている教室がわからないんですよね」
「委員会かなにかか?」
「文化祭実行委員会なんですけど…」
「そうか!奇遇だな私も実行委員で今、教室に向かうところだったんだ。よかったら一緒に行かないか?」
「本当ですか?それは助かります」
「私は、3年の
そのまま俺たちも自己紹介をしたのだが、俺の名前を聞いた時だけ少し考える様子を見せた。
「日野…。あぁ、いやなんでもない」
そして、そう呟いて何か引っかかった感じだった。
結局そこからは何も無く、そのまま委員会は無事に終わった。そしてその帰り道。
「鶴見先輩、カッコよかったね〜」
「確かにかっこいい人だったね」
「けど、なんか明人の名前聞いた時なんか引っかかってた感じだったよね。なんだろ、どこかで会ってたりしてないの?」
「記憶にはないんだけどな〜」
「まぁ、いっか!それよりさ、和装喫茶ってどんなかんじかな?」
「衣装貸してもらえるっていっても数に限りがあるだろうし、衣装はホールの人だけになると思うな」
「そうなるかなー?私は明人の和装姿すごく見たいんだけどな」
「俺は着ることはないんじゃないか。俺の仕事は調理場とかになる気がする」
「えー!」
「まぁ、それも追々決まってくるでしょ」
「だねー。けど私は最後まで明人の和装をおすよ!」
そんなことを話しながら俺たちは家に帰った。これから忙しくなりそうだ。
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