昼休みにて

 そして時は進んで昼休み。


「あきと〜!一緒に食べよ!」


 七海が弁当を二つ持ってやってくる。


「じゃあどこで食べる?」

「ん?普通に明人の机でいいじゃん」


 そう言って首を傾げる。そうだった、この子は人の目を気にしないんだった。けどまぁ、いっか。


「じゃあ椅子を持ってくるか」

「うん!」


 翔太には悪いけど、あいつ学食だし、椅子を拝借しよう。

 俺は椅子を机の前に置き、その後七海は持っていた弁当を上に置く。


「「いただきます」」


 弁当を開けると、色鮮やかな食材が目に映る。

 トマトに、ポテトサラダ、ちょっとしたサラダに、俺の好きな唐揚げとゆうラインナップで、スゴく美味そうだ。まず唐揚げを一口。食べてみると、カリカリしていて美味い。これだけでこれが冷凍食品ではなく、手作りのものだとわかる。朝に作ったのだろうか?


「うめぇ…」


そう無意識に口に出してしまうほど美味い。


「そう?美味しい?よかったぁ…、早起きした甲斐があったよ!味見もしたんだけど、明人の口に合うかわからなかったから…」

「いや、これは本当に美味い。正直、時間が経ってこれなら作りたてはどんだけ美味いんだ?」

「そんなに褒められると、溶けちゃうよぉ…」


そう言って七海は両手を頬に当て、くねくねしている。

 そんな七海の様子を見て、クラスのみんなが呆然としていた。しかも、噂を聞きつけたのか廊下にも人が集まっている。

 廊下にいる人も普段とは似ても似つかぬ七海の様子を信じられないかのように固まっていた。そうやって辺りを見渡していると、体をのりだした七海にガッと顔を掴まれる。


「むぅ…また違うところ見てた〜…」

「ほへんなはい(ごめんなさい)」

「私と一緒にいるんだから、私だけを見て、ね?」


そう言って顔を近づけてくる


「ははった(わかった)、ははったはらてをはなひてくれ(わかったから手を離してくれ)」

「ならよろしい!さ、唐揚げだけじゃなくて他のもいっぱい食べてね!」


やっと乗り出した体を戻して、弁当に手をつける。

 俺も、もう人の目を気にしない程の境地に至るしかないのか。そう思い弁当を食べ進める。


「「ご馳走様でした」」


 弁当を食べ終え、片付ける。

 片付け終わったところで尿意がきた。そういえば朝からトイレ行ってなかったな。


「ちょっとトイレ行ってくるわ」

「いってらっしゃ〜い」


 そう断りをいれ、教室を出る。

そして男子トイレに入る。するとすぐに声を掛けられる。


「ねぇ、ちょっといいかな?」


振り向くと、学校1のイケメンこと、木村きむら 優哉ゆうやがいた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る