いじめが俺を強くした

カンツェラー

第1話 運命を分けたクラス分け

俺の名前は、武藤剛(たける)、中学1年生だ。

これは、俺がいじめを乗り越えていく物語。


〈中学1年4月〉

幸三「今日からみんなのHR兼英語の担当となりました、幸三です。これからよろしく。」

喋り口調は、若い感じがするが、実際は40代ってとこだな。

幸三「これからみんなには、席の隣同士で自己紹介をしてもらう。1組終わったら、席の左側が、1つ後ろにずれて、クラス一周しよう」

よくあるオリエンテーションだな。

この学校には、1学年4クラスある。このクラスは、35人だ。

この授業というか、オリエンテーションで仲良くなったのが、小林と佐伯だ。

剛「お疲れ!一緒に帰らん?」

小林「いいよ〜」

佐伯「もちろん!」

剛「家どこにあんの?」

佐伯「立川の方」

小林「まじ?俺も立川」

剛「待て待て、俺もだ笑」

佐伯「偶然だな笑」

剛「部活どこにするの?」

佐伯「んー、今のところは、考えてないな〜」

剛「えっ、どこにも所属しないなんてあるの笑」

佐伯「いや、帰宅部なんて珍しくないっしょ笑」

剛「まじか〜、でもまあ確かに無理に探して入る必要もないのか。。」

小林「俺は、ブラスバンド」

佐伯「楽器扱えるんだったね、なんだっけ、フルート?」

小林「そそ」

3人が一緒に電車で話す時間は、大体20分くらいだった。

立川を境に乗り換えで、皆それぞれ別の路線に変わる。

剛「じゃあまた明日ね」

佐伯「またね〜」

小林「ほんじゃね〜」

佐伯も小林もいいやつ。佐伯は、自由奔放な感じがある。小林は、なんとなく頭が良さそうな感じだ。音楽ができてメガネもかけているせいだろうか笑。

中学入学、私立だから、小学校の友達もおらず、文字通りゼロからの出発だ。

帰り道が一緒の友人が初日に二人もできるのは、いい出だしだろう。


こうして平穏無事に始まったかに見えた俺の学園生活だが、

5月の大型連休を境に状況は、変わった。

4月の入学からずっとつるんでいた小林と佐伯、

小林はブラスバンドの部活が忙しく、勉強と合わせると放課後の自由時間はほとんどなく、当然一緒に帰ることもなくなった。

一方佐伯は結局、帰宅部となり、それに吸い寄せられるかの様に俺も帰宅部となり、学校帰りに、佐伯の大好きなオンラインゲームをゲームセンターで遊ぶ日々が一月続いた。

そして、GW明けあたりから、佐伯は学校を休みがちになり、学校の友達を改めて探す必要性が出てきた。そんな矢先、知り合ったのが、後に俺の天敵となるいじめの主犯格。野原だ。野原は、背が高くバレー部に所属している。一見スポーツをしていて爽やかに見えるが、部活以外の時間では、陰口ばかり言っている人間だ。そんな野原といつも行動を共にしているのが、金子、垣口、大家だ。

体育の授業でたまたま話したことが全ての始まりだ。


野原「今日放課後に食堂で軽く飯食ってから帰るけど、剛もどうよ」

剛「おっ、いいね、いくいく」

大家「おっ、新しい友達?」

野原「おお、そうそう。こいつ大家。彼は剛」

大家「よろしくね剛」

剛「こちらこそよろしくね」

野原「垣口と金子ってのがいるんだけど、ほらちょうど向こうでバカやってる、あとで紹介するよ」

剛「ありがと!ははは、あれ何やってんの、踊ってんの?」

大家「そう、あの意味わかんないダンスしてんのが、金子。その横で手拍子してるやつが、垣口」

剛「二人とも面白そうだね」

大家「うん、愉快な奴らだよ」


友達は、選べとよく言われるが、このあと自分の身に起きてくる様々ないじめの経験を通して、つくづくその言葉の重み、大切さを痛感することになる。

この時の俺は、そんなこと、全く考えもしなかった。

なんならちょうどいいタイミングでちょうどいい数の友達できた、そんな気分だった。

でもこの4人が、人として良くない、危険な部類であることは、この後の食堂での会話で感じては、いた。

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