第16話 モンスターにも選ぶ権利はある
DWOにおいてモンスターを仲間にする方法は2種類ある。
契約、もしくはテイムをすればモンスターが仲間になり共に戦うことが出来る。
仲間になったモンスターはパーティに加えることが出来、プレイヤーと同じくモンスターを倒すことで成長していく。
モンスターを仲間にする、というのは契約もテイムも同じだが、その方法は異なる。
テイムでモンスターを仲間にする方法は、《従魔士》のクラスを取得した状態でモンスターを倒すことで一定の確率で仲間にすることが出来る、というわかりやすいものだ。
確率はモンスターの強さや種類によって変わるが、《ダンジョンガーディアン》、《ゲートキーパー》以外のモンスターは理論上全てテイム可能である。
契約でモンスターを仲間にする方法は、特定の条件をクリアすればモンスターと契約することが可能となり、契約をすれば《契約者》というクラスをプレイヤーが取得しモンスターが仲間になるというものだ。
この特定の条件というのがモンスターによって変わるため、運にもよるがモンスターを倒せば仲間に出来るテイムと違い、契約でモンスターを仲間にすることは難しい。
この方法の違いは、モンスターとプレイヤーの関係性を表している。
契約はモンスターとプレイヤーは対等の関係であり、モンスターは自由行動可能で、強制的に命令を聞かせることも出来ない上、モンスターが気に入らなければ契約が解除されることもある。
テイムはモンスターはプレイヤーに負けて仲間になっているので、従属しているという扱いになり、モンスターはプレイヤーの指示を無視することが出来ないし、契約のようにテイムの拒否権はモンスターにはない。
契約はプレイヤーとモンスターは同僚であり、テイムは上司と部下のようなものである。
仲間にする難易度、モンスターとの関係性を考えると契約ではなくテイムでいいとなりそうだが、契約にはテイムにない大きな強みがある。
契約でモンスターを仲間にすると、プレイヤーはそのモンスターの特性を得ることが出来るのだ。
特性はモンスターによって異なるが、プレイヤーの《クラス》では得られないものも多いため、契約が出来ればモンスターが仲間になるだけでなくその力も得ることが出来る。
テイムは現在のダンジョンであれば比較的簡単に行うことが可能で、契約は狙ってできるものではありませんが、出来れば攻略に非常に有利になるでしょう、とサーボは説明を締めくくった。
サーボの説明を頭の中でまとめつつ、どうしたものかと大河は考える。
《従魔士》はサーボから取得可能であるし、テイム自体にデメリットもなさそうだから試すだけ試してもいいだろう。
しかし掲示板でテイムについて調べてみると、意外にそうでもなかった。
モンスターと一緒に戦うというのはMMOの醍醐味でもあるので、テイムするプレイヤーは多くその分掲示板も賑わっている。
その中でも特に目立つのは、モンスターとの共闘の難しさだ。
基本的にモンスターはプレイヤーの指示した通りにしか行動せず、複雑な指示の場合は受け付けないこともある。
DWOのAIは異常に優れていると話題になっているが、テイムモンスターは初期段階ではそうでもないらしい。
《従魔士》のスキルで改善は出来るということなので、おそらくそれが狙いなのだろう。
だが改善していったとしても、テイムモンスターに目を配り指示を出しながら、自分も前線で戦うというのはかなり難しそうだ。
どちらかというと後方で指示をしながら戦いたい人向けだなと大河は感じた。
それでは契約はどうだと調べるが、掲示板には全く情報がない。
契約したプレイヤーはまだいないのか、知っていても情報を隠しているのか。
どちらにせよわからないなら自分で調べるしかないか、と大河はウッドチェアから立ち上がりダンジョンに向かうことにした。
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