プレイ時間は裏切らない

雪から至る

第1話 龍上大河という男


龍上大河は『超人』である。


体は大きく、丈夫で、代謝も良く、筋肉質。


怪我をしても治りが異常に早い。


そもそもほとんど怪我をしない。


病気にならない。


極少の睡眠で十分な健康を維持できる。


精神的にとても強く前向きで落ち込むことがない。


そこに理屈なんてない。


突然変異で『人』の枠を『超えている』身体の持ってしまった『超人』なのだ。







大河が生まれた時、身長も体重も平均的だった。

その後も順調に成長を続けたが、それらはやはり平均的だった。

しかし怪我や病気は全くせず、体は健康そのもの。

幼少期の大河の超人性はそれくらいだった。


大きな変化があったのは、中学校に入学した頃。

第2次成長期を迎えたためか体が急激に成長していった。

大河の超人性は成長にあわせて発揮されており、その成長曲線は平均を大きく超えていた。

中学卒業時には、身長190超え、筋肉質で、それに伴う体重で制服は特注だった。

大人顔負けどころかリングの上で闘っていても違和感のない姿は、同級生から密かに世紀末覇者と呼ばれていた。



次に変化が起きたのは、高校に入学し肉体的成長も落ち着いた頃。

今度は睡眠時間が急激に減りだした。

体調に変化はなかったので気にはしなかったが、夏休み前には1時間で目が覚めるようになった。

5日程度は寝なくても全く問題ないが、一度寝ると次に寝るタイミングの調整がややこしくなるため1日1時間決まった時間に寝るようにした。

これを最後に大河の身体に変化が起きることはなかった。

ここで漸く大河は完全な『超人』となったのだ。





しかし大河が『超人』であることを知る人はいない。

大学を卒業し、社会にでて多くの人と出会ってもだ。

見た目は剛が似合う巨漢だが、それだけで『超人』とは思われない。

空を飛んだり瞬間移動ができる超能力は持っておらず、どこかの組織と闘ったりもしてない、特殊な家系の生まれや異世界から転生していない。

わかりやすい特殊な能力や背景がないから気づかれないのだ。


大河自身は人とは違うと思っているが、特に気せずありのままに自分を受け入れている。



龍上大河は知られざる『超人』なのだ。


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