彼女が仕事を辞めてから。

のざきゆりこ

第1話 彼女の遺書

「ピーン」と、亜未のスマートフォンから通知音がなる。職場のコミュニケーションツールであるグループチャットアプリ『ホウレンソウ』に新しいメッセージが届いた合図である。亜未はアプリを開き、絶句した。


「私は今日で退職すると共に、この世からも去ることを決めました。因果応報、あの世からお前達が不幸になることを願っています。さようなら。」

亜未の同僚である山田真理子からのメッセージである。


「これは遺書?」

亜未はすぐに山田にメッセージを送ろうとするが遅かった。山田はその遺書とも思えるメッセージを送信した後にグループを退会しており、もう山田には届かない。

亜未はそれに気づき、山田との個人チャットにメッセージを送ろうとするが、もう既にブロックされていた。


「なんで?私は山田さんの相談に共感してたし、ありがとうって言ってくれてた。お前達って、私も?」

亜未が疑問に思っていると、スマートフォンの着信音が鳴る。上司の早見からである。

「さっきの山田さんからのメッセージ見た?今、確認中だから、もうあのグループチャットを使用しないでね。」

早見はひどく慌てた様子で、亜未が返事をする前に電話を切られた。

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