やっぱり、好き
大宮さんの涙は、ずっと
さっき、キスしそうになって誤魔化した。
胸を
このまま、大宮さんとそう慣れたらいいのに…。
無理な事は、わかっていた。
だから、優しく涙を拭うだけだ。
「店長、私、母親からネグレクトを受けていたんです。」
大宮さんは、私の手を握りしめた。
「父が、亡くなった日に親戚から不倫をしていた事を聞きました。母は、3年前に他界していたのでそんな話を聞くのは初めてでした。」
「ネグレクトですか?」
大宮さんが、何故、その話をしてくれたのかわからなかった。
「こんな話、聞きたくないですよね」
「いえ、聞きたいです。」
私は、大宮さんの頬から手を離して、両手を握りしめた。
「最近、全員逮捕された
「知っていますよ。NEWSで見ました。桃源郷に連れていくとかなんとか言っていたって話ですよね?」
「そうです。母は、そこの信者でした。」
そう言って、大宮さんの手が震えている。
「ネグレクトされていたのは、宗教に入っていたからですか?」
「はい。
「お母さんは、信じていたんですか?」
「はい。教祖の
そう言って、大宮さんは涙を流した。
「事故に合ったのは、栄養不足で眩暈がして車道に飛び出したのが原因です。今でも、覚えてます。朝から酷く体が疲れていて、学校の行き道で眩暈がしたんです。通学中は、車がこれない道だから安心していたのですが…。たまたま、それを知らずに入ってきた車に跳ねられた。運が悪かったのだと思いますよ。だから、仕方なかったんです。」
大宮さんの手は、震えだした。
「大丈夫ですか?話さなくてもいいんですよ。」
「店長に聞いて欲しいんです。」
そう言って、私の手を強く握りしめる。
「入院してる時は、よかったんです。退院すると母は、
大宮さんは、悲しそうに目を伏せた。
「姉は、遊び歩いて帰ってこなくなり、父もどこかに行ってました。家族は、バラバラだった。唯一の食事は給食だけだった。帰宅した母に話しかけても、無視され続けました。生かさず殺さず状態が、母が死ぬまで続きました。」
「お母さんは、いつ亡くなったのですか?」
「私が、15歳の時です。栄養不足から、脳卒中になり亡くなりました。家族全員が、母の死に安心したんです。酷いですよね?やっと、解放されると思ったんです。」
大宮さんは、私から手を離した。
私は、大宮さんの手が震えてるのに気付き、また手を握りしめた。
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