第27話 望まない形

ルーク「どうした?この程度なのか?勇者様ぁ!!」


ガッ


踵落としでシンを地面に叩きつける

シンは咄嗟に回避しようとしたが

己の焦りとルークのスピードの速さで対応できず


ズドンッ!!


と激しい音と土煙と共に地面にぶつかった


ルーク「...................」スタッ


シン「...................」ガラ....


ルークはそのまま地上に降りてシンと対峙する

シンはボロボロになりながらもなんとか立ち上がり左腕を押さえながらこちらを見つめる


ルーク「勇者の力はそんな程度か?ククク、どうやらお前の死は近い様だなぁ?」


ひひひと不気味な笑みで笑いながらルークは話しかける


しかし


シン「...................」


シンは先程と打って変わって冷静になっている


ルーク「...................?」


怪訝そうに見るルークその沈黙がしばらく続き、シンが笑みを浮かべる


シン「俺様は勇者だ、"この世界に呼ばれ"したくもない魔王退治をしなきゃならねぇ」


ルーク「........"この世界"?」


何を言っているのだ?そう思いながら聞くとシンのボロボロになった体が光り出す


シン「だからな?俺様はそんなめんどくさい事のために修行やら特訓やらはやりたくない」


体の傷が修復し、先ほどよりも光の力が強まる


シン「それでな、俺様はある"特典"がある事に気づいたんだ」


そう言ってシンの体が光り輝き辺りを照らす


シン「それは"レベルアップ"今の俺様が35ぐらいだった」


シン「そして今は..................」


その瞬間姿が消えシンを見失う

気配も無く、完全にシンの居場所がわからなくなる


シン「レベル100だ」


ルーク「!?」バッ


ルークは声が聞こえた瞬間、その場所を攻撃するがひらりと躱され


ドドドド!!!!


ルーク「カハァァァァ!?」


逆に反撃され、吐血する


ルークは口に血を残したまま後ろを振り返り、シンを睨みつける


シンもルークに背を向けているが、顔だけが此方を見ており、とても余裕な表情を見せる


シン「全く、俺様が本気を出さないといけないなんてな、魔王に初めて遭った時は正直ビビったし、戸惑いは隠せなかったが、今なら安心して殺せる」


ルーク「クッ.........ついに」クルッ


右手に白いエネルギー弾を溜め

振り返ると同時に攻撃する


ルーク「本気を出したってことか!」


シンはゆっくりと歩きながら、ルークの攻撃を全て躱す


シン「その通りだ、本当なら俺様はお前達にこんなものを使わせる前に殲滅殺すつもりだったがな?」


ズドンッ!!


一瞬の内に目の前まで行き

重い一撃を与えられる


ルーク「カハァァァァ!?」


あまりの衝撃で吹き飛ばされそうになるが

なんとか体勢を立て直し、反撃に出る

...........しかし


ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ


ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド


シン「.......................」


ルーク「クゥッ!!!」


ルークは応戦するが、シンは余裕の表情で全てを弾き返し、先程の光景が嘘の様に見える程、状況が一変した


シン「フンッ!!」


ルーク「アアア!!!??」


たった1発反撃しただけで、ルークは光に飲まれながら吹き飛ばされる


シン「死ね」ゴッ


超巨大な光玉をルークが着地する前に放つ

ルークは着地してからだと確実に喰らうとわかり、自身の剣を長剣にし、全身全霊の力で光玉を斬った


ドォォォォォォォォォン!!!!!!!!!


パキパキパキパキパキパキパキパキパキパキパキパキパキパキパキパキパキパキパキパキ


常時貼っているバリアにヒビが入る


ここまで持ったのも凄いが、これ以上は持たないだろう

既にこの戦いで魔術師の半分が魔力枯渇で倒れている

今も修復されているがこれ以上続けば.........


しかし、皆んなは逃げようとしない

いや逃げたくないんだ

この戦いに興奮している

一進一退の攻防、白熱の戦い

ここで逃げればもう2度と見る事が出来ない


この世界の命運を賭けて戦う2人を皆は見届けようとしているのだ


——————————————————————

コロシアム~上空~


リディア「やはり、そうだったか」


リディアはシンがレベルアップした時にそう口にこぼした


サキュバス「やはり.......とは、何か知っているのですか?」


隣にいたサキュバスが声をかける、リディアはああと言って説明する


リディア「何故あそこまでの屑勇者を国王達が庇っていたのか、それがわかった」


そう言って一言置いて


リディア「彼奴は"異世界からの転移者"だこの世界の適合者を探して我を殺すために国王達が召喚したのだろう」


サキュバス「異世界!?」


異世界の言葉でサキュバスは驚愕する


リディア「転移者は此方の世界に来る時に何かしらの力を得るそうだ」


サキュバス「それが、彼奴を勇者にした.....と?」


リディア「ああ、出なければあんな屑すぐに殺していたであろう」


そう言ってまた戦いを見る


サキュバス(ルーク..........)


~闘技場内入り口~


マイ「ルーク............嘘でしょ?そんなの.....あり得ない!!」


マイは涙を零しながら叫ぶ


マイ「勝ってた!勝ってたのよ!なのに......なのに!!!」


ユキ「マイちゃん.................」


ユキ(ルークの異変もそうだけど、あの屑勇者があんなのを隠し持っていたなんて!!)


マイは一方的にやられているルークを見て

発狂し


ユキはシンの隠し持っていた力に驚愕する


シャイン「ルーク.............」


シャインは己の不甲斐なさを呪った

自分に力があれば、皆んなを........

ルークを助けられる力があればと

何も出来ない自分に怒りを覚えた


——————————————————————

ルーク「オオオオオオオ!!!!」


負の感情に呑まれ、半狂乱になるが

なんとか抑えながら戦っている


そんな姿を嘲笑うかの様にシンはゆっくりと攻撃をする


ルークが剣を長剣から普通の長さに戻して

シンに接近する


シンはそれを無数の玉で反撃するが

ルークはそれを躱しながらシンに近づき

剣を振るう


ルーク「オラァ!!」


ルークは剣に白くそして禍々しいオーラを凝縮させ、シンに斬りかかる


ドォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


巨大な爆炎が起き


バキン!!!


バリアは完全に壊れた、周囲の人間はこれ以上は危ないと命の危険を感じてその場から去る


しかし魔道具は置いてあるため中継は続いている


辺りは静かになり、聞こえてくるのは戦っている者の荒い息遣いだ


ルーク「クゥ...........クゥゥゥッ!!!!」


ルークの全力の技、それをモロに喰らって

シンは...................


シン「時間切れだ、死ね」


ドォォォォォォォォォン.......................


多少のダメージは負ったのだろう

体には傷が何箇所かあった


しかしそれがどうした?と言わんばかりに

ルークに巨大なエネルギー砲を放つ


ルーク「.......................」


ルークは空高く吹き飛び


ドゴォォォォンンン....................


瓦礫の中に埋もれて行った


マイ「ルー..................ク?」


ユキ「え..................?」


シャイン「嫌だ.........そんな.........嘘だ........」


彼女達「「「ルークーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!」」」


——————————————————————


続く

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