最悪な朝

「頭が痛い……って、えーと、えーと」


「先輩、うるさいですよ。えー」


「市木もうるさい。頭に響く」


昨日の事が、全く思い出せない。


「先輩…。俺と何しました?」


「知らない。市木も、覚えていないならわからない。ただ、体が痛い。」


「俺が、先輩にそのいれたのでしょうか?」


「多分、そうだろう。シャワーを浴びて用意をする」


頭が痛くて、水を飲んだ。


何故か、市木とそうなったっと聞いて冷静になっていく自分を感じた。


男同士とかには、嫌悪感があったはずなのに…。


何故、市木には嫌悪を感じなかったのだろうか?


シャワーの栓を捻る。


俺から、市木を誘惑したのだろうか?


俺は、何をしているんだ。


シャワーから上がると市木は、水を飲んでいた。


「上がった。市木も、シャワーを浴びてくれ」


「わかりました。」


はあー。


ゴミ箱に目をやった。


避妊具なんて、よく持っていたな。


結婚してから、俺は一度も使っていなかった。


市木と裸で寝ていた、身体中が痛くて驚いた。


俺も、浮気したんだな。


スマホを開いた。


妻からのメールは、なしか…。


「大宮先輩、コンビニで朝飯買って行きましょうか?」


市木は、何もなかった事にしようとしていた。


「そうだな」


俺と市木は、ホテルを出た。


市木は、フロントに鍵を預ける。


コンビニで、朝御飯を買う。


市木と俺は、並んで歩く。


「大宮先輩、忘れましょう。気持ち悪いって顔に書いてありますよ」


コーヒーを飲みながら、市木はそう言った。


「市木だって、男となんて嫌だろ?」


近くの公園にはいった、俺と市木はサンドウィッチを食べる。


「俺は、昔からどっちもいけます。だから、すみません。多分、俺から大宮先輩を襲ったんだと思います。本当に、すみません。」


そう言って、市木は頭を下げる。


「市木、謝らないでくれ。俺も酔っぱらっていた。」


嫌じゃなかった。


気持ち悪くなかった。


何故だろうか?


[男同士の恋愛を見てよく泣けるな]


「だって、純愛だよ。」


[気持ちわるっ]


[由紀斗は、酷いね。そうじゃなきゃ生きれない人もいるのに]


梨寿りじゅの言葉に、何も言えなかった。


怖かったのだろうか?


「同期が、子供の性別どっちでもいいって言ってたんですよ。妻も俺も、子供が性別を自分で選べばいいとか言ってるんですよ。何か気持ち悪いって思っちゃったんですよ。俺…。自分が、両方いけるやつだからかな?そんなの親に望まれてたら、俺だったら気持ち悪いです。」


そう言って、市木はコーヒーを飲み干した。


「性別に違和感はないんだろ?市木は…。」


「ないですよ。俺は、男だから。ただ、男も女も好きってだけですよ。」


市木は、立ち上がる。


「行こうか」


「はい」


先方に会いに行って、今日の仕事は終わった。


ホテルに戻って、部屋の話を聞いた。


俺と市木は、部屋を移動した。


「じゃあ、また明日。」


「晩御飯、食べないのか?」


「一緒に食べたら、俺、また何かしますよ。」


そう言って、俺に避妊具を見せる。


「引いてますよ、顔。じゃあ」


「待ってくれ」


何故、呼び止めるんだろうか…。


「だから、大宮先輩。俺、しちゃいますよ」


「わかってる」


「いいんですか?」


何故、駄目だって言えないのだろう…。


市木の目に、拒めない。


嫌悪感や気持ち悪さよりも、市木に抱かれたい気持ちが勝ってしまう。


「先輩、馬鹿でしょ?」



そう言って、腕を引き寄せられた。


唇を重ねられた。


何故か、嫌じゃなかった。


興味本位であるのを、感じてる。


それでも、とめられなかった。


「市木」


「何て言う顔してんの?先輩。そんな顔したら、俺止められないですよ。」


「いいよ」


「馬鹿でしょ?先輩」


「そうだな。妻を裏切ってる」


「裏切ったのは、奥さんからでしょ?」


「どっちでもいい」


頭の奥が、ジンジンと痺れる。


何も考えたくない


市木を感じたい。


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