なくなったバッジと一株の花
玉椿 沢
第1話「対立する男子と女子」
「誰かが隠したんでしょ!?」
放課後の教室に、女子児童の荒らげられた声がした。
教壇に立っている女児・
大人しい綾音が荒らげた声をぶつけたのは、教室の最後尾に集まっている5人。
他のクラスメートが遠巻きにするのだから、綾音と小蔵達5人との間に流れている空気は重苦しい。
しかし壇上の綾音と、
困惑した顔を浮かべながら、所在なげにしている男子児童が一人。
その
亜野の襟にも、本来ならば学級委員長のバッジがあるはずだが、それがない。
「誰かが隠したんでしょ!」
綾音は主語を省略した言葉を繰り返しているが、教室内にいる者は全員、分かっている。
亜野の委員長バッジだ。
綾音は隠したのは小蔵達だと疑っている。
だから小蔵の声には隠しきれない不機嫌さが
「知るか」
小蔵が吐き捨てると、残り4人も口々に綾音へと怒鳴り声をぶつけた。
「しつこいぞ」
まず濱屋。
「何回もいわすな!」
次に戎。
亜野のバッジがなくなるまでに起こった一連の出来事を事件と呼ぶならば、当事者であった二人だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます