なんか転生した
自分が死んでしまった、その事は意識が戻った瞬間に理解した。特に神様に会ったからとかそんなんではなく、自分が一度、確実に死んだ感触がまだ新鮮に残っていたからだ。
トラックに潰され、骨がバキバキになり、身体中が悲鳴を上げてグチャグチャに潰れていく感触。
身体から力が抜けていき、自分の血がどんどん体内から外へと溢れ出していくのがわかるのに、痛みも何も感じず、目の前が徐々に真っ暗になっていく感覚―――。
もう二度と味わいたくない感覚だった。
ただ意識があったから不思議に思い、ふと目を開くと、そこは知らない部屋だった。
身体を動かそうにもあまり上手く動かない
俺はトラックに引かれて死んだ筈だけど……ここは病院か?
それにしては……どっちかって言うと昔見た豪華な屋敷の部屋みたいだな。
あの傷は間違いなく、致命傷だった筈だ。
不思議に思い、ふと自分の手のひらを見るとかなり小さかった。
……あれ?
ペタペタと身体中を触る。
……………………。
もう一度ペタペタと身体中を触る。
……どうやら、身体が赤ん坊のようになってしまったらしい。
俺はあの時確かに死んだ。
つまり、これは転生ということだろうか?
考えているとドアが開き、人が入ってきた。
「☆▼●□☆▲○◻️□●○◻️▼☆★」
若い女性が俺に何か話しかけてきた。
子供の耳だからか言葉が上手く聞こえない
いや、それよりもこの女性の容姿だ。
俺はその女性をまじまじと観察した。
美しい腰まで伸びた金色の髪に血のように赤い瞳、容姿は凄まじく整っている。
しかも瞳や髪は、カラコンや鬘ではなさそうだ。
俺の生きていた世界で、天然でこの色を持つ人を俺は見たことがない。
まさか……?
その女性は俺に近づき、俺の身体を抱き上げる。
ふと、鏡が眼に入る。
鏡の中で女性に抱き上げられた白銀の髪に右眼は血のように赤い真紅の瞳と左眼がアメジストのように輝く紫色の瞳の中二病チックなオッドアイを持つ赤ん坊と眼が合った。
……すなわち、俺である。
──どうやら俺が、転生したのは異世界らしい。
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