第102話 Planet Eroder Ⅱ

「さて、いくわよッ!」


「いつでもどうぞー」


しゅうぅぅぅぅぅぅぅッ


「あわわわわわわわ、ナニコレ?こんなの常識じゃない!考えられない!今まで異常だと思ってたけど、いつから人間を辞めちゃったのさ?」


「アタシは異常者でも人間辞めたワケでもないわッ!全くッ!後で覚えておきなさいよッ!ふんすっ」

「……じゃあ気を取り直して、これから出力を上げるわッ!」


「あっ!えっ?いや待って、これから先があるの?」


「えっ?何言ってるの?これはまだ初期段階よ?アタシが今まで試してみた感じだと、ここから3段階くらい出力上がるわよ?」


「えぇぇッ!?すとーっぷすとーっぷ、ムリ無理むりッ!ただでさえ今ですらいっぱいいっぱいなのに、それ以上バケモノ化したら測定機器が壊れちゃうよ!」


「ば、バケモノですってぇ?こんな可愛らしい乙女に向かって、それはないんじゃないッ!!本ッッッッッとに、ぎったんぎったんのけちょんけちょんにしてやるんだからッ!」


「まぁ、そのボディラインだけは、ちんちくりんのぺったん子で、色気もへったくれも無い辺りは生娘っポイけどねぇ。あっ、「ちんちくりんのぺったん子」って、なんかイメージぴったりで面白い!でも、本人の前で言ったら殺されるよね、多分。あはははっ」


「ねぇ、ウィルくん?そう言った悪口はマイクを切ってからする方がい・い・わ・よ・?」


「えッ?マイク?!あっ!」


きぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃん


「急に大声を出さないでよッ。うっさいでしょ!!でもまぁ、ウィルの気持ちは、よおぉぉぉぉぉぉぉぉぉッく分かったから、生命を捨てる覚悟をしておきなさいよねッ!ふんすッ!」



-・-・-・-・-・-・-



 少女は爺から話しを聞いた後、悩みに悩みまくった挙句に全てをマムに報告する事にした。緊急要請エマージェンシーの報告書に敢えて書かなかったコトも全てだ。

 ただし、爺の正体は伏せる事にした。



 少女からの報告を改めて聞いたマムは驚いた表情をしていたが、それに対しては特に何も言わなかった。少女はそれならそれで、報告が終わったので部屋を出ようと思ったのだが、マムから帰る前に「B1FとB2Fに行くように」とだけ言われた。


 先に寄ったのはモチロンの事ながらドクのラボだった。



「ドクいる?マムから行けって言われたんだけど?」


「あぁん?あぁ、嬢ちゃんか。あれの解析が終わったからマムに言っといたんだ。こっちに寄るように言ってくれってな」


「解析?何か頼んでおいたっけ?」


「はあぁぁ。まったく嬢ちゃんは自分の興味がないコトにはトコトンだな」


「えへへ、ドクにそう言われると照れるなぁ。てへっ」


「どこをどう理解したら、そんな返事になるんだ?1回、頭ん中でも調べてやろうか?」


「えぁ?!いやいやいや、ドクなら本当にやりそうだし、乱暴に扱われそうだから、遠慮しとくっ!で、何か解析するようなモノを預けてたっけ?」


「これだよ」


「うわ、ナニコレすっごい綺麗!!このネックレスをアタシにくれるの?」


「だーかーらー、本当に頭ん中を見てもらいたいようだな?」


「あはは、冗談よ冗談。光龍のお守りアミュレットどうだった?何か分かった?あ、でも、ネックレスにしてくれたのは凄っごい助かる!ありがと、ドク。流石ね、いよッ、天才発明家!!」


「照れるやろがい!よせやいッ!」


「もう、ドクったら照れちゃって可愛いんだからッ」


「はっ!って、違わい!やめろぃ!……と、ところでだ、嬢ちゃんが貰ってきたこの石っころだけどな、解析結果を言うがいいか?」


「うん、それはそれで気になるから、早く教えてッ!」


「こりゃあな、この石はな……」


「うんうん、なになに?どんな凄い力があったの?」


「——ただの石だ」


ずこっ


「えっ?ええぇぇぇぇぇぇぇッ!ただの石ィ?」


「まぁまぁ落ち着け。話しは最後まで聞くモンだッ。ただの石って言ったが、正確には何も解析出来なかったから、ただの石って表現しか出来ねぇってだけなんだわ」


「何も解析出来ない?それってどういうコト?」


「材料、材質、成分量に魔力量、加護やら属性それら一切合切分からねぇ。それにこんな素材を見たコトも無ぇ。よって解析不能アンノウンだ。でも測定器は何かしらの結果を出したがるから、出した答えが……ただの石っころだったってだけだ」


「な、何よ……それ」


「でもま、何かしらの恩恵があるならデバイスの中にしまっておくより、身に着けておいた方がいいだろ?だから、ネックレスにしてやった。ありがたく受けとんなっ」




 こんな感じのドクとの会話が、あった後に少女はB2Fへと降りていった。

 そこにはいつものようにウィルがいて、目を輝かせて少女を見詰めていたのである。

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