第7話 リングに込めた想い

意を決してカードを開く

そこには2年前と同じように英語で書かれたメッセージが並んでいた



『メリークリスマス


 驚かせてごめんな

 よりを戻したあの日から辛い思いをさせてると思う

 でも俺にとって李砂といれる日々は何よりも大切なんだ


 まだ完全じゃないからなかなか言い出せなかったけど

 李砂と住み始めてから徐々に記憶が戻ってきてる


 つき返されたリングの意味も思い出した

 あの時誓ったのに忘れてしまって悪かったと思ってる


 だから改めて誓うよ

 この先何度李砂を忘れる事があっても何度でも李砂に恋をする

 李砂が俺を思ってくれる限り何度でも思い出す


 俺はこれからの人生を李砂と一緒に生きて生きたい

 もし李砂もそう望んでくれているならこのリングを受け取って欲しい』



李砂の疑問が全て解けていく

「・・・ばか・・・」


2年前と同じようにリングを指にはめた李砂は幸せそうにリングを見つめた

そして意を決したように出かける準備をした


玲衣の泊まっているホテルまで車で1時間

李砂に悩む理由などかけらもない

すぐに車に乗り込むと玲衣のもとへひたすら走った

「会いたい・・・」

その想いだけが李砂を駆り立てていた




「立浪」

「あ、お疲れ様です」

玲衣は先輩に頭を下げる

「どうした?ぼーっとして」

「いえ・・・」

「何だ、彼女が恋しいか?」

「そんなんじゃ・・・」

玲衣は苦笑する


「・・・お前らはすごいな」

「?」

「記憶失くしたお前の元に戻ってきたんだろ?彼女」

「あぁ・・・はい」

「お前には悪いけどつらいと思うぞ?

 俺らでも本当に記憶がないのか錯覚する時があるくらいお前は昔と変わらないからな」

「・・・」

「大事にしてやらないと罰当たるぞ?」

先輩はそう言って笑った


「・・・最もこんな日に出張つき合わせてる俺が言える言葉でもないけどな」

「卯月さん・・・」

玲衣が卯月さんに返す言葉を捜していた時誰かがホテルに飛び込んできた


「え・・・?」

玲衣は目を疑う


「どうした?」

「いえ・・・今ホテルに飛び込んで来たの・・・」

玲衣はありえないと思いながらもロビーに目を配る


「今の綺麗な女だったよな?けどお前には彼女が・・・って立浪?」

突然立ち上がった玲衣に卯月さんは戸惑う


「まさか・・・でも・・・」

そう呟いたとき彼女と目が合った

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