第62話 宿屋で…騒動 10

 女将がボッタクリする、と云う話を聞いたおっさんは…黙ったまま考えてる。

 そして、理解したのか……いきなり声を荒くする。

 理解するまで間があったね?…笑える。


「は?おいそれだったら、釣り返せよ。悪りぃ事してんのは、てめぇじゃねぇーか!クソ俺様を騙しゃがって」


 絡ませたままの腕を、乱暴に振り払って女将に怒鳴るおっさん…。


「何だい痛いね。釣り?お客さん、勘違いしないかい?あれはあたしにって、チップをくれたんだろ?嫌だね忘れないどくれよぉ~」


 あー言えば、こー言うなぁ~。


「な、訳ねぇだろがよ!ふざけんな!薹が立ったばばあが、色気出して来んなよ!気持ち悪りぃ~」


「何だって!誰がババアだい! 貧乏人の癖に」


「パトリックさん?おっさん。これじゃ、他の人たちも落ち着かないだろ?取り敢えずさ、下のロビーまで行きません? あ!おっさんって、連れの人は居るの?」


「あ、あぁ居る。今からそいつに、警護を呼んで来てもらう。…おいちと、走ってくれ」


 連れの男の人がおっさんの指示に頷き、部屋を出て走って行ってくれた。


「なら、取り敢えず下へ行こうよ。で、後はこの女が逃げないようにしないとな」


「アンちゃん、なにするんだい?」


「そんなの、決まってるだろ? 悪い奴を縛るんだよ」ニヤリ


 鞄からロープを出して、体をにロープを巻いて縛る。ついでに手首にもロープを巻いて縛って引っ張れる様にした。


 で、そのロープを引っ張り下まで連れていく。


「何するんだよ!あたしは何もしてないだろ。あんた、放しとくれよ」


 その言葉を聞いた、パトリックは女から顔を背けた。


 ??


 三人で、ロビーまで下りて縛られた女は騒ぎながら自分は悪くないと叫ぶ。


 しかし煩い…仕方ない黙らせらるか。


 俺は女にサイレントの魔法を掛ける。


「ふぅ~静かになりましたね」


 突然黙った女を見て、俺を見る二人が驚いた顔をしてる。


 …ん?俺めずらい事はしてないよ?


《主、やりましたね!【サイレント】なんて魔法、この世界には在りませんよ》


 ありりゃ、テヘペロ。


「アンちゃん…今何した?」


「え?俺、何にかしましたか?」


「惚けんなよ、まぁ良いがな!」



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