第19話 腹黒は続く

 じゃ~詰めますかね?


《ご髄に…私は知りませんからね!》


『いや、ナビさん知らなくても…何にもならんよ? そこ大事!』


《………》


「えっと…俺に、ぶつかって来たのはそっちでしょ? 謝るのはさっ、逆にお宅じゃないのかな? それが常識だよね。しかも、お宅さわざとぶつかって俺の懐から、何か盗もうとしたでしょ?」


「うるせー!そんな事知るかよ、痛てぇってるだろが!糞餓鬼!潰すぞ…」


 おお、チンピラみたいだ!でも弱っちいし怖くもなんともねぇし…。


「そうか、なら仕方ないですね」


「誰かすみませんが!巡回警備の騎士様を呼んできて下さいませんかぁ~?誰かお願いします」


 誰かと言って、頼めば誰か動くかな。


 そんな事してたら直ぐそこ迄騎士みたいなのが来てるな。(誰か呼んでくれたのかな)よしあと少しだな。誰だか知らんがサンキューです!


 しかも、この男の仲間たち逃げちゃったよ白状だなぁ~。(笑)


「お宅さ! どうしたい?」


 未だに逃げず、目の前に要る男に声を掛ける。まあ実行犯だから、逃げはしないのか。

 当たり前だったなアハハ馬鹿か俺は。


 しかし…ここまで粘るって…余程金が欲しいのかな?中間逃げてるよ。


「何がだよ」


「お宅のお仲間、とっくに逃げてるよ? どうするの?」


 男が目を大きく見開き、唇を噛み悔しそうな顔をして俺を睨む。


 あらら、裏切られると思ってなかった顔だねそれは。


「なっ…。そ、そんな事知るかよ、俺には仲間なんて居ねぇよ」


 お、一丁前に強がってるし面白れ~。


《主、底意地悪いです》


『五月蝿いよ、ナビさん』


 俺はオコです。

 肩めっちゃ痛かったし、懐に手が入った感触が未だキモいんだ。


 良し、人が足を止めて人垣になって来た。

 更に「どうした!通行の邪魔だ止まるな」と怒鳴る声がしてる。

 で、後ろから人垣を割って来る人物が居たので、男が逃げない様に睨んで(威圧をかけて)逃げない様にする。


「いやね、今ここで謝って俺に許して貰うのと。今あそこから来る人に、捕まって余罪追及されるのと、どちらが良いのかなぁ~と思ってさぁ~フフフッ」


 ニヤリと笑って男を見る。


「そんなよ知らんわ!余罪?追及?何だそれ、分かる言葉で話せ餓鬼!」


「ええ!そんな言葉も分からないのか? お宅、もう良い大人なんでしょ」


「うるせー!早く治療代寄越せ」


 ああ~自分の首絞めちゃったよ。

 そんなに大声で言っちゃったら、ここに居る人に聞かれてるよ?皆にさ、ねぇ。

 大人なのに分らないのかと、圧をかけつつ冷めた目で再び男をみてしまった…。


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