第31話 再会(アンジェラ視点)

「アンジェラ、ランドルフ殿下が戻ってこられたそうだ。王太后様がお前に城に来て欲しいと言っているがどうする?」

「どうするって、王太后様の呼び出しに断れるわけないですわ。私とランドルフ様の縁談の件ですよね?」


 父は本当にいい加減だ。王太后様の呼び出しを断れる貴族がいたら顔を見てみたいわ。私に断れる訳などない。

 ランドルフ殿下は伯父様の嫡男だし、我がレキソール侯爵家の正当な跡取り、訳あって大っぴらに親子の名乗りは上げられないから、レキソール家の娘の私と結婚して、侯爵を継ぐのが1番ベストな選択なのだ。

 それに、父母はそのつもりだったようで私の縁談を事ごとく断ってしまったので、私はランドルフ殿下しか結婚相手がいない。

 ランドルフ殿下とは子供の頃に2回しか会ったことがないが、静かな人だった気がする。

 小説「真実の愛」に出てきたランディ殿下とは全く別人のようだった。


 長年留学していたので、長い間会っていない。ひょっとしたら今は小説の中のランディ殿下のようにとんでもない人になっているかもしれない。

 私は父母と一緒にランドルフ殿下に会うためにお城に上がった。


「アンジェラ、久しぶりね。また可愛くなったのではなくて?」


 王太后様は華やかな笑顔を私達親子に向ける。

「王太后様、本日はお招きいただきましてありがとうございます」

「堅苦しい挨拶はいいわ。王太后って言いにくいでしょ? ミランダでいいわよ。早速だけど、ランディと顔合わせしてね」


 ミランダ様は私の背中を押して、サロンに入った。


 そこには10年ぶりくらいに見るランドルフ殿下がいた。


 ランドルフ殿下は立ち上がり、私の前に来た。

「アンジェラ嬢、お久しぶりです」


 私は慌てカーテシーをした。

「ランドルフ殿下、本日はお招きありがとうございます。ご無沙汰しておりました。アンジェラ・レキソールでございます」


 これってお見合い?


 お見合いよね。前世でもお見合いなんてしたことない。


 絶対に断ることができないお見合い。


 ランドルフ殿下は私でいいのかな? ラックノーラン国に好きな人いなかったのかしら?


 私は小さなため息をついた。


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