第19話 再会(レオンフィード視点・シンシア視点)
*レオンフィード視点・途中からシンシア視点になります*
私がフレデリックに計画を伝えてから8ヶ月が過ぎた。
懐妊してから体調が余計に悪くなり、起き上がるこてもままならなくなってしまったシンシアに全く興味を失ってしまった兄は今は愛妾を何人も作りそちらに通っている。
シンシアの子供は難産ではあったが無事産まれた。髪はシンシアと同じブロンド、瞳はグリーン。兄もまぁ、グリーンと言えばグリーンと見えないこともない。
周りの者達は兄と同じ色だと喜んだ。
兄は全く子供に会いに来ない。もう、シンシアにも子供にも興味はないのだろう。
私は計画を実行した。
シンシアの子供、ランドルフ殿下の乳母、侍女頭兼任に王妃である私の母の影を、そして守り役にレキソール侯爵を就任させた。
レキソール侯爵は元騎士だったが、怪我で騎士を辞め、侯爵だった父親の跡を継いでいた。レキソール侯爵家は王家から信用もあり、何の問題もなく守り役に決まった。私と母以外はシンシアと侯爵の事は知らなかったのだ。
まぁ、調べようと思えばいくらでも調べられるのだが、それだけシンシアに興味がなくなっていたのか? もしくはただ無能なだけか? まぁ、どちらにしても私達には好都合だった。
フレデリック・レキソール侯爵はシンシアの恋人であった。
ー・―・―・―・―・―・―
シンシア視点
「王太子妃殿下、ランドルフ殿下の守り役になりましたレキソール侯爵と侍女頭で乳母のマギーが参りました」
「どうぞ」
私が声を掛けるとそこには死ぬほどお会いしたかったあの方がいた。
ふたりが中に入り、城の者が下がるとマギーが私に近づき耳元で囁く。
「王太子妃殿下、私は王妃殿下の影の者でございます。あなた様とランドルフ様をお守りする為に侍女頭、乳母として、こちらに参りました。この部屋には防音魔法と仕掛けられており、盗聴魔法には違う話に替える魔法をかけております。そして悪意を持つ魔法の無効化の魔法もかけておりますので、王太子側の者に気が付かれるような事はこざいません。この中では何にも気遣う事なく自由にお過ごしくださいませ。私は隣に控えております故、レキソール侯爵とご歓談下さい」
マギーはそう言って隣の控えの間に消えた。
「王太子妃殿下、この度、守り役を承りましたフレデリック・レキソールでございます」
フレディはそう言うとウインクをした。
「フレディ……」
「シア、辛かったな。君がいちばん辛い時に側にいてやれなくてすまなかった」
フレディは私を抱きしめた。
私は何が何だかわからずただ涙が溢れて流れて落ちるばかりだ。
「ランドルフは私の子だ。名前は王妃様が私につけさせてくれた。今回の人事は、私と君で育てるように王妃様とレオンフィー殿下が骨を折ってくれた」
「信じてくれるの?」
「当たり前だろう。殿下に何かされていたらシアは自死していただろう?」
確かにフレディ様の言う通りだ。王太子に穢されていたら私は自死していた。フレディ様以外の男に身体を許す時は死ぬ時だ。それは私が子供の頃から祖母や母に教えられた。
私が生きている限り、ココット子爵家の者はランドルフがフレディ様の子供だとわかるはず。会えなくても、きっと家族、そしてフレディ様の耳に入ると信じて耐えて生きてきた。
「この部屋では安心して会える。ただ、ランドルフにはもう少し大きくなるまで伏せておいた方がいい。それまでは守り役として接するつもりだ。君とも臣下のフレデリックとしてシンシア王太子妃殿下に接するつもりだ。ただこの部屋ではフレディとしてシアと会いたい。時が来るまで不貞はしないがな」
フレディ様はふっと笑った。
時が来るまで?
その時の私はそれが何のことか全くわからなかった。
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