最終話 最期の人生

ジリリリ ジリリリ


「真澄、朝だよ。起きなさい!!」


お母さんの声が部屋中に響き渡る。


目を開けるとそこは私の部屋だった。


あれ?異世界に居た気がしたけど……。


あれは夢だったのか。


「ほら、理沙が外で待ってるよ」


私は急いで朝ごはんを食べて外に出た。


「真澄、ハッピーバースデー。これで真澄も15歳だね」


「うん……」


今日は私の誕生日なんだ……。そして、学校に着くと、私の隣には1人の男の子が座っていた。


「真澄、ハッピーバースデー!!」


目の前に小さなケーキがあった。でも、その男の子の名前が思い出せない。


「え……あなたは誰ですか?」


「忘れたの?僕の名前を。僕の名前は……海斗だよ」


海斗……。何だかどこかで聞いたことがある名前だな。まあ良いや。


「ありがとう」


「これ、誕生日プレゼント」


海斗は1枚の封筒を私にくれた。


その封筒の中には四葉のクローバーと手紙が入っていた。



真澄へ


これから僕があなたを幸せにします。僕と付き合ってください。


海斗より




その瞬間、夢の中で見た異世界での記憶が蘇ってきた。


『お願い。僕のために生きて。だって僕は、真澄のことが好きだから……』


海斗はずっと私を異世界で守ってくれた。だから今度こそ私が海斗を守っていく。


「海斗、ありがとう。私も好きだよ……」


海斗の頬に軽くキスをした。


「え……じゃあOKって事?」


「よろしくね。海斗」


この人生では、死んでも転生はもう出来ない。


でも、現実世界で生きていく事を決めた。


2人は最期の人生を幸せに過ごし始めた。


私の家の勉強机の上には2つの四葉のクローバーと魔法の杖があった。


(完結)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【旧】異世界転生した私はもう1度現実世界に戻るために3つのミッションに挑戦する 緑のキツネ @midori-myfriend

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ