腕試し(其の六)
――この二人に決着を求める必要があるのか?
強い疑問も脳裏をよぎった。
すでに、
互いに能力が拮抗している以上手加減はできず、正真正銘全力でぶつかり合えば、いかに素手の闘いとはいえ、どちらも無事には済まぬであろう。
万が一にも深手を負うようなことになれば本末転倒になる。
そうして逡巡するうち、彼らの闘気はいよいよ強まって、もはや誰にも止めようがなかった。
(ここは止めるべきではないか)
と、目配せをしたが、
ところが、眼前に展開される光景は、
目視できぬ速さで拳や蹴りが繰り出され、あの
――怖ろしい奴!
その思いは、嵐のような攻撃を受け流している
拳が強い闘気を纏っているため、一呼吸早く衝撃がくる。
通常の相手なら微かな気配からでも動きの予測は可能で、十分に躱すことができた。というのも、闘気は性質上得物を持たねば十全に威力を発揮できず、それは
ところが、この
おそらくそれは、当初感じた尋常な修行では身につかぬ強大な内力のなせる業に違いなかった。
(これほどの内力――いかにして身につけたものか?)
反撃の隙を狙いつつ、
――行けるぞ!
禁軍総大将を相手に、まずは全力で当たるしかないと腹を括ってはいたが、蓋を開けてみれば、むしろ一方的に押しまくっている。
とはいえ、さすがに
嵐のような
(やはり、一筋縄ではいかぬ)
桁違いに勢いを増した
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