岳賦出陣
前日には滝のように降りしきり、大地を水浸しにした豪雨も去って、緑林の上空には雲一つない青空が広がっていた。
夜が明けても、しばらく両軍に目立った動きはなく、地面はなお
高台に移した本陣から、寨の全景を見下ろしていた
漆黒の巨大な槍をかざし、自ら先頭に立って号令しているのは、確かに
昨日の宣言通り、自ら討って出たらしい。
「俺はここにいるぞ!
天にも届けと雄叫びを上げながら、槍を縦横無尽に振り回し、群がる敵兵を次々に突き伏せた。
まるで無人の野を往くが如く
「御大将は我が軍の要、二度と捕われるようなことがあってはなりませぬ!」
「馬鹿を申せ。そう何度も捕われてたまるか。今度はわしが奴を捕らえてくれる。このまま野放しにしておけるか!」
二人が押し問答するうちにも、
緑林軍は次第に縦長の陣形になり、
「いま少し、いま少しの御辛抱を!」
と、
「
「む、いつの間にこのような陣形に?」
「
しかし、その
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