第19話 エスパー

「完敗よ……あなた超能力者エスパーでしょ?」



広瀬は個人戦室から出てくると下を向きながらそう言った。


超能力者エスパー

エリュシオンにおいて優れた才能を持つ者がごく稀に手に入れる能力。俺の場合、超高速反応という力を会得している。

これはエスパーの中でもかなりの珍しさだ。戦闘面で多大な影響を及ぼす為である。


前に降谷と戦った時にも使ったがこれであった。


しかし、デメリットもある。

それは脳に多大な負荷をかける為、凄まじく疲れるのだ。


「凄い!!赤星くんエスパーだったんだね!!」

「なんで言わなかったんですか?」

「手の内を晒すアホがどこにいる?」

「もう晒してるけどねー」

「ちっ……!!」


俺が舌打ちして睨みつけると、降谷は目を逸らして口笛を吹いた。


「でも、あなたの事は嫌いなのは変わりないから」

「そうか。それで構わない」

「そもそも、表情がわざとらしいのよ。ムカつくわ」

「負けたくせに偉そうだ」

「次は負けないわ」


そう言い合っていると広瀬と降谷のモニターに通知が来た。

そして2人ともモニターを起動すると急いで見る。


「ごめん。ちょっと会議できたから抜けるよ。あとは頑張ってね」

「私もよ」


そう言うと木原は頷くと少し寂しそうに。


「分かった。行ってらっしゃい!!」

「この子は嫌いだけどあなたは好きよ。名前は?」

「成葉。木原成葉です!!」

「よろしくね成葉ちゃん?それじゃあね」


広瀬は木原の頭を撫でるとそのまま去ってしまった。


「じゃあ自分も!!」


そう言うと、降谷も急いで後を追った。


「それじゃあ木原、訓練でもするぞ」

「分かりました」


こうして怒涛のような一日が終わった。

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