第7話
7話
◉カラスハンター
アキラとコテツは気が合った。2人で麻雀について語るとファミレスで始発まで語り合うくらいの仲になっていた。
「あのさ、コテツくんにハネ満放銃した3-6-9待ちピンフドラ3のヤツあったでしょ。あれ1巡回してリーチしたのはどうしてだったの?」
「ああ、あれはアキラくんはまだ親残ってて1番潰しておかなきゃいけないターゲットだったから狙ったんだよ」
「どういうこと?おれ狙いだとなんでツモ切りリーチなの?」
「ツモ切りリーチも色々あってさ、あの時のツモ切りリーチはツモ切りをさりげなくやってたんだけどわかったかな、手元までちゃんともってってから考えてリーチしてたろ?ああやるとよく見てない人からはツモ切りか手出しかわからないから即リーに見える」
「細か!たしかにそうだった。つまりおれしか見てないツモ切り情報を与えることで見てない2人は押さないが見てるおれは押しやすい、たいした待ちじゃないんじゃないかと印象付けて9を打たせたってワケかよ!」
「そゆことー!まあ思惑通りでした。アキラくんを強者と見込んでのことですので、勘弁しろよ!ははははは!!」
「コテツくんてそういう読ませるようなミスリード戦略を使うよね。そういうのはデジタルじゃないんじゃない?」
「おいおい褒めるなよ。何言っても奢らんぞ。デジタルじゃないとか当たり前さ。デジタルにやろうと思ったことないからな。機械相手じゃないんだからデジタル思考じゃ勝ち星に限界あるだろ」
「褒めたわけじゃないけど、それって人の数だけ対応するってこと?それこそ無理ない?」
「ふ、オレにはそれも可能だと信じてるし、それにオレは対応するのが持ち味じゃない。オレの持ち味は…」
「対応させる。ってことね」
「そう!」
「見事だよ。対応しちゃったなー。手のひらで転がされたってわけだ」
アキラが天を仰ぐ。
「アキラくんカラスの雄と雌はどうやって見分けるか知ってるかい?」
「ええ?分かんないよ。同じじゃないの真っ黒で」
「そう、同じなんだ」
「ーーだったら」
「人間にはね。だが、カラスから見ると羽の色が違う。人間には見分けられない色の違いがあるんだよ」
「へええー。でもそれが?」
「つまりアキラくんはカラスってこと。違いを見分けられる人。カラスにしか見えない罠を張るとターゲットから直取りできるっつうわけよ。カラス狩りさ」
「コテツくんは面白いことを言うな。カラスハンターコテツってことかい」
「そうさ、カラスハンティングだ。カラスを狩るのは面白いんだよ。読んでくるだろうなと予想してそこに仕掛けた罠にカラスが見事にかかった時の快感って言ったらないね」
「これだもんな。本当に麻雀向きの性格してら。コテツくんには敵わないよ」
気がついた時にはとっくに朝になっていて2人はモーニングを食べてから帰った。
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