遠足ごっこ

第1話

大きな夕日を見に行こう。って、

約束したことがある。

おにぎりの中身は梅干しとマヨネーズツナでよし。としよう。

久しぶりに見る水筒がなんだかちょっと嬉しくて、いつもより早起きしていた。

「お菓子は５００円まで。」なんて、いったい誰が決めたんだろう。

「バナナはお菓子なんですか。」なんて、いったい誰が言ったのだろう。

だから、今日は思いきって６００円分のバナナをもって、カバンの中につめこんだ。

いつも窓から眺めていた丘まで、一気に登ってみたけれど、まだまだ夕陽は出てこなかった。

いつか辿り着いた山のことを思い出して走ってみた。

なかなか姿をみせないから、

悔しくって、泣けてきた。

お菓子なバナナを食べながら、

歌いながら、進んでみた。

忘れていたおにぎりの、梅干しとツナのまざりぐあい、

「普通、別々にするだろ。」なんて、今頃気がついてしまった。

目の前に広がる海に、

隠れていた、大きな夕日が。