第31話 魔法石編 その8 実射 2

改めてその手に持ってみると、ズシリと重く感じてしまう。

この大型拳銃の〝武勇伝〟を祖父から聞いてしまってから余計にそう思えて

仕方がない。


「急場の時にこれ(拳銃)を使えるように・・・って事か。」


「そうよ、お兄ちゃん! うちら試されてるんだからね!」


「そう言えば、お前の使うヤツは決まったのか?」


「何かねぇ、銀色の。 これ使って・・・って言われた。」


ケイティが手にしている拳銃。 (ディアーガン参照)


「それ・・・ なんか様子が変じゃないか?」


「分かる? 何て言うか・・・ビリビリくる感じ!」


「何かの魔法か呪いのアレじゃないだろうな? 大丈夫だったか?」


「あたしは何ともないよ。けど、パティちゃんは嫌がってたみたい。」


「ケイティ、確かおまえ魔力検査キット・・・持ってたよな?」


「あ、その手があった! これ終わったらやってみる!」


そこへ、ギルマスのバックと親方とで話し合いをしていたパティが戻ってきた。


「あ、パティちゃん! バックさんと何を話してたの?」


「次の射撃が終わってからにしましょう。 エムさん、構えてください。」


「う、わかった!」


「撃ち方、よー-い・・・」  と、観客に分かりやすく声掛けするパティ。


エムは、前日パティから教わった基本的な6種類の射撃スタイルの一つである、

片膝を立てて座る〝ひざ撃ち〟(ニーリング・ポジション)の体勢を取った。

そして、左手の親指で撃鉄を引き起こす。  カチッとロックされた音。


「てッ!!」     パティの号令と同時だった。


       ドォン!!!!


と、会場中に爆発音が一瞬だけ響き渡った。 


同時に粉々になっていた、標的の盾。


目を向ける、というよりひん剝いてその光景を見るギルマスのバック。

相変わらず仏頂面の親方。


銃を構えたまま倒れ、仰向けの体勢で放心状態らしいエム。


「・・・・・・・」


「お見事でした。 合格ですね。」


「・・・・・・やったぜ・・・」

エムの口角が少しだけつり上がった。



標的だった木製の盾を確認する、3人の神官とギルマスのバック。

木っ端微塵になっていたのは盾だけではなかった。


盾を立てかけて固定させてあった木製の台座。→ へし折られたようにも見える。

すぐ後ろのレンガでできた壁。→ブロックが何枚かすっ飛んでいて穴が開いていた。


「・・・・・・」


「ご覧ください。この威力ですよ。」

「でも、ゴーレムハンマーを破壊した時の方がすごかったです。」

「もう・・・なんであの時サイコロ屋に行ってたんですか?」 ・・・等々。


3人の神官は、それはもう言いたい放題だった。


「はい、はい、はい! 私が悪うございましたッ‼ そんなことよりも!」


ギルマスのバックはメガホンを取り出し、口に当てた。


「 えー-、今回の試射会は以上です! 」


すると、観客から一斉にブーイングが。


「えー-っ!?」 「今日の夕食はこれにしよう。」 「やだー-ッ!!」 



「えー-、静粛に願います。明日、場所を変えて・・・」


一拍間を置くギルマスのバック。


「〝飛ぶ鳥の山公園〟特設会場で二回目の試射会を執り行います!!」


観客からのブーイングは歓声に変わった。



「パティちゃん、バックさんと話してた事って・・・」


「急遽決めてもらいました。仕切り直しですね。」



「お兄ちゃん、いつまでぶっ倒れてんの!? もう帰るよっ!!」


「・・・・・・うるせぇなあ・・・わかったよ。」







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魔弾の射手 異世界拳銃無宿 もりおかねた。 @vespa100

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