第34話
「近寄るなあ!」
何も無かった空間から黒い手が幾重も花めがけて伸びる!
(きゃあ!)
花の目の前に黒いフードをかぶった人物が突如現れた。
マントの手の辺りから蛇の頭が沢山伸びて、黒い手に噛みついて遮っている。
「さっさと行け!」
(ありがとう……誰だろうこの人?知らない人のはずなのに初めて会う人じゃない氣がする)
花はフードの人物の横を走って通り過ぎる。
萌がフードの人物の目の前に立ち止まっていた。
「あなただれ」
フードの人物は顔だけこちらに向けて萌をじっと見ていた。
その間に、ヘレル、舞、熊谷が駆けつける。
三人を見たフードの人物はなにやら呪文を唱えて腕を振るうと、袖口から粉が蒔かれる。
モワリ。
辺りは粉でよく見えなくなった。
「あ…」
萌はどさりと倒れた。
「萌ちゃん!」
「萌!」
叫んだ舞と熊谷もすぐ後に声を漏らして倒れた。
ヘレルだけが何もなかったかのように立っている。
「眠りの魔法だな、この二人を眠らせるほどの魔法だと相当な力を持っているようだなおぬし、敵か? 味方か?」
フードの人物は何も答えずマントをたなびかせてその場から消えた。
「ん?消えたのか?」
遅れて信也が駆けつける。
「大丈夫か!?」
「寝ているだけだ問題ない」
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