第18話

君に死ぬほど恋い焦がれた。



 君が僕の生きる道だった。



 君がいないと生きていけない。



 もう生きている価値なんてない。



 君の微笑みが……



声が……



 仕草が……



 記憶の断片が僕の心を苦しめる。



 会いたい。



 ただ君に会いたい。

 

萌は見ててと、背中に蝶のはねを生やして飛んでいた。

花「凄い!」

 花は目を輝かしている。

「ポポン! わたしも飛びたい!」

 ギュウウン。

 ポポンがでてくるなり口を開く。

「できないポポ」

「なんで!」

花はぷーと頬を膨らませる。

「できないものはできないポポ」

「えー、そんなあ」

がっくりと肩を落とす。

「鳥に変身して飛ぶことならできるポポ」

「そういうのじゃなくてえ」

「わがまま言うなポポ」

「なんかポポンに言われたくない」


 誰もいない廃工場の中。

太陽光が差し込み、薄暗がりの所々に光が落ちていた。

 ひらり、ひらり。

 黒いはねで飛翔する少女は蝶さながら。

自由に宙を巡り、宙で一回転などしてみせる。

 花は萌が飛んでいるのをしゃがみながら眺めていて。

 ポポンはそこら辺を散策して楽しんでいた。

 ピクリッ。

 ポポンが走り出して花のもとにきた。

「なにか怖いのが来るポポ」

 ポポンはブルブルと震えだす。

「何が来るの?」

「わからないポポ」

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