第13話

(どうしよう……)

(壁を通り抜けるポポ!)

 ヌルリと、ポメラニアンは壁をぬけた。

 それを真似しようとしたドーベルマンは壁に激突した。

 先生に姿が戻る。

「おのれええええ」

 その顔はもはや別の人間だった。



 家庭科室に入る先生。

「ここかな……」

 回りを見回す。

 水道と一体になった白い大きな台が六つ並んでいた。

 その中の奥の一つに近づいて、立ち止まる。

 しゃがんで、台の下の収納スペースの戸をパッと開いた。

 何もなかった。



 収納スペースに指人形の大きさになって入っていた花。

カッカッカッカッカッ。

 近づいてくる足音。

(来る……)

カッカッ。

 立ち止まった足音。

(今、ポポ!)

 花は先生がいる側の反対側の戸から出た。両側が開く構造になっていた。

 すかさず花は教室から逃げ出した。

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