第3話
かと思いきや女は鏡の中に飲み込まれて、鏡面はドロリと波打つ。
どこか殺風景な部屋に来て、そのまま目の前のドアを開け外に出る。
「とにかく、あの人の所へ行かないと」
一人独語したあと、突然バックが七色に光り出した。
「いったいなに!?」
発光体はバックを突き破って、凄い速さで飛んでいった。
さきほどバックにしまい込んだ水晶の結晶だ。
「しまった!逃げられた!」
「マハリクマハリタ、白ハヤブサになあれえ」
変じる。
黒い羽が差し入った、うろこ状の模様の白いハヤブサに。
広げた翼は風を切り裂いていくかのような迫力がある。
凄まじい勢いで羽ばたいていった。
七色の光は流星の如く飛んで、だんだんと光が弱くなっていき、落っこちた。
「じゃあね、萌ちゃん。また明日」
「ばいばーい」
長い黒髪の少女と栗色でふわりと肩まである髪をした目の大きい少女はそれぞれの家へ帰るため道をわかれた、学校の下校途中。
花はいつもの住宅街の路地を行く。
歩いていると。
コツンッ。
頭に何かぶつかった。
「いったあい」
ぶつかった所を手でおさえて、涙目になりながら、何がぶつかったのか地面を見やった。
キラリと光を放つ物体。
水晶の首飾りが近くに落ちている。
拾い上げて眺めてみる。
「誰よこんなのをわたしに投げつけてきた奴はー」
花が一人で憤慨していると、水晶から突然七色の光が溢れ出してきた。
青、赤、緑、黄、紫、オレンジ、藍。
「えっ」
髪がぶわりっ、と流れ、着ていたワンピースも強い風に吹かれたかのように乱れてなびく。
頭の中に声が響いた。
リーテ
ラトバリタ
ウルス
「リーテラトバリタウスル?」
水晶の中からギュウウウンとなにかが飛び出した。
「ポポポポポポポポー」
「魔法少女にならないかポポ?」
「なる!」
花は魔法少女になった。
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