第2話
「これさえ……無ければ」
女は、小石程度の大きさの水晶の結晶を握りしめて部屋を出た。
灯りなどほとんどついていないに等しい、暗がり。
「ガアガア、ドコへイク! ドコへイク!」
鳥籠に入った黒い鳥は翼をばたつかせて羽根をまき散らす。
女は特に反応を示さず通り抜けた。
檻が沢山ある。
ナキウサギ、イイズナ、オコジョ、ヒグマ、エゾクロテン、ツキノワグマ、シマテン、テン、ホンドイタチ、エゾリス、エゾシマリス、エゾモモンガ、ニホンモモンガ、ニホンカモシカ、ヤマネ、ニホンアナグマ、キタキツネ、ホンドキツネ、ホンシュウジカ、エゾシカ、ノウサギ、エゾユキウザギ、イノシシ、ニホンザル、ニホンリス、タヌキ、エゾタヌキ、ムササビ、ハクビシン、ヒメネズミ、エゾヒメネズミ、アカネズミ、ハントウアカネズミ、ハタネズミ、ヤチネズミ、エゾヤチネズミ、トゲネズミ、ケナガネズミ、アズマモグラ、コウベモグラ、ミズモグラ、コモグラ、サドモグラ、エチゴモグラ、ヒミズ、オオアシトガリネズミ、ヒメヒミズ、ヒメトガリネズミ、ジネズミ、カワネズミ、キクガシラコウモリ、コキクガシラコウモリ、ヤマコウモリ、ノレンコウモリ、アブラコウモリ、カグヤコウモリ、ヒメホオヒゲコウモリ、ニホンテングコウモリ、ニホンコテングコウモリ、ニホンウサギコウモリ、キョン、ノヤギ、ツシマヤマネコ、アマミクロウサギ、イリオモテヤマネコ……
あげていくときりがないほど、動物がまだまだいるようだ。
通路の突き当たった先には姿見がある。
鏡に、女性にしては短めの髪型でTシャツにジーンズ、スニーカーを履いた快活そうな女の姿が映る。
この先にはもう進めないのに女は歩みを緩める氣配がない。
鏡に激突した。
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