第20話 おっちょこちょいとすっとこどっこい
あなたはわたしをすっとこどっこいだと言う。
失礼しちゃう。
わたしは確かにおっちょこちょいだ。おっちょこちょいなところもある。それは認めよう。
でもすっとこどっこいはひどいと思う。
「ねえ、ヒドくない? なんで私がすっとこどっこいなの?」
「すっとこどっこいは言い過ぎか。それは失礼なことを言った。あれだね、すっとこどっこい寄りのおっちょこちょいか」
「なにそれ。どこに寄ってんの? てかなんで寄るの?」
「それはまあ流れ?」
「流れでわたしはすっとこどっこい寄りのおっちょこちょいにされちゃうの?」
「あー、まあそんな日もあるよね。でさ、おっちょこちょいもすっとこどっこいも最近聞かなくなったと思わない?」
「確かに。なにか別の言葉に置き換わったのかな?」
「たとえば?」
「うーん、ずぼら、粗暴、そそっかしいとか?」
「どれも違う気がするね。てかそそっかしいのそそっかってなんだろか?」
「あそっか、とかじゃない?」
「なんだそりゃ。面白すぎる説だね。でもおっちょこちょいをはこの時代やはり文字数が多すぎるんだと思う。短く端的に表現されないとなんだろうね」
「もう、また話が訳解んない方向に進んでる! 結局わたしがダメだってことを面白く言いたいだけじゃん。ヒドイよ」
「あ。いいのがあったじゃん。まあ前々から言ってるけどさ」
「ん? なに?」
「サザエさん」
「え?」
「短く端的に表現するとサザエさんじゃん!」
「サザエさんはどっちかって言うとおっちょこちょいって感じじゃなくてうっかりさんな感じじゃない?」
「あー、そうか、違うわ。サザエさんは愉快だったり陽気だったりだな」
「歌詞じゃん、それ」
いつものように変なこと言ってる。
いつものように笑いあう。
いつものように
わたしはあなたのことが好き。
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