第53話 日笠と一緒にお昼ご飯②

「あ、あと、これは私だけかもしれないんですけど……相手がとってもオシャレなハイブランドの服装でやってきたら、私だったら普通に緊張しちゃうかもしんないです」

「あー、なるほど。それは確かにあるかもな」


 確かにそれは俺もわかるわ。俺も相手の女の子の服装が見るからに超高級なハイブランド一式だったらめっちゃビビると思うし。


 でも、そう考えると日笠の言う通りシンプルな服装で相手に威圧感を与えないようにするってのも大事になってきそうだな。これは女子目線で超貴重な意見を貰った気がするぞ!


「……なるほど。うん、ありがとな、日笠! これはめっちゃ役立つ情報だったよ!」

「え? あ、は、はい! 何かの参考になったようなら何よりです!」


 そう言って俺は改めて日笠に向けて感謝を伝えていった。すると日笠も嬉しそうにしながらそう言ってきてくれた。


 という事でしろねこさんとの初オフ会では変に着飾るなんて事はせずにいつも通りのシンプルな服装で行く事にしようと思う。まぁメインディッシュは俺じゃなくてしろねこさんの引き締まった太ももなわけだし!


(いやそれにしても日笠は本当にいつもいつも俺の事を助けてくれるよなぁ)


 一緒に備品購入を手伝ってくれたり、ジムに一緒に行ってくれたり、ついでにエッチないたずらもさせてくれたり、さらには今日みたいにとても助かるアドバイスをくれたりなどなど……いや本当に日笠には感謝をしてもしきれないよ。


(うん、これは日笠にもちゃんとしたお礼をしてあげないと駄目だよな)


 という事で俺は改めて日笠に対して何かお礼をしようと考えていった。うーん、でも日笠の喜びそうなものって何かあったっけ……あ、そうだ!


「あ、そうだ。それじゃあせっかくだし今の話の続きなんだけどさ、日笠は男の子と初デートをするとしたら何をしたいとか考えてたりするか?」

「え……は、初デートで何をしたいか……で、ですか!?」

「あぁ、うんそうだよ。もし何か初デートでやりたい事とかがあるようだったらさ……今日のお礼に今度日笠のやってみたいデートの練習に付き合ってあげるよ」

「え、えぇっ!? せ、先輩が私とデートですかっ!? そ、そんなの……えっ!? い、いいんですか!?」

「あぁ、もちろん良いに決まってるじゃん。まぁ日笠が俺となんかデートしたくないって言うなら今の話は無しにするけど」

「えっ!? い、いやいや!! したいです!! もちろんしたいに決まってます!! 先輩とデートの練習したいです!!」


 日笠は今日一番の大きな声を上げながら俺にそう言ってきた。それだけ全力で俺とデートがしたいと言ってきてくれると、何だか俺としてもとても嬉しく感じてしまうな。


「はは、そっかそっか。うん、それなら良かったよ。という事でさ、今の時点で日笠は何かやってみたいデートとかあったりするのか?」

「え……え、えっと、そ、そうですね……えぇっと……そ、その……」


 俺がそう尋ねると日笠の顔は恥ずかしそうにしつつもどんどんと顔が真っ赤になっていきだした。


「そ、それじゃあ、その……ちょっとありきたりかもしれないですけど……やっぱりプリクラとかは一緒に撮ってみたいですかね。ほ、ほら、プリクラって基本的に男子のものじゃないですか? だから私も男の子と一緒にプリクラを撮るっていうのに憧れみたいなのがあるんですよね……」

「プリクラが男子のもの……? いやプリクラって基本的には女子がやる機械じゃないのか?」

「え? い、いやいや、何を言ってるんですか先輩? 女子同士でプリクラなんて撮りませんよ? 基本的には男子同士かカップルで撮影する機械じゃないですか?」

「そ、そうなのか……? あ、でもそっか……逆転してる世界ならそういう事になるのか」


 そう言えばこの世界って色々と逆転してるんだよな。こっちの世界だとゲームやってる人口は圧倒的に女性>>超えられない壁>>男性になっているとしろねこさんは言ってたし。


 だからプリクラをするのもこちらの世界だと女子ではなく男子が好んでやるって感じなのかな。いや知らんけど。


「……? どうかしましたか先輩?」

「ん? あぁ、いや何でもないよ。でも、なるほどなー、確かにカップルでプリクラを撮るのは王道だし楽しそうだよな!」

「は、はい、そうですよね! そもそも私は今まで一度もプリクラとかした事がないので、そういう意味でもちょっと憧れるんですよね……」

「へぇ、そうなんだ。あ、でも俺もよく考えたらプリクラとか撮った事は一度もないなー。そう考えたら俺もデートでプリクラとかしてみたいかもしれないな」


 そういや友達のイソスタの鍵垢を見てたら“彼女とデート行ってきた!”みたいな題目で彼女とのラブラブのキスプリを投稿してるヤツとかもいたっけ。いやあれマジで羨ましすぎてムカついたわ。


 俺だって彼女作ってキスプリとかしてみてぇよ……たとえバカップルだと冷やかされてもいいから俺だってそんなラブラブなイチャイチャとしたプリクラを撮ってみてぇよ!


(……ん? あれ、でもここって貞操逆転してんだよな? 俺がそんな事を思うって事は、ひょっとして日笠も……?)


「……なぁ、日笠?」

「え? どうしましたか先輩?」

「あぁ、いやさ、俺はプリクラを撮るんだったら彼女と抱きしめ合ったり、キスをしあったりするちょっとえっちぃ感じのプリクラとか撮ってみたいって思うタイプなんだけどさ……でも日笠はどうなんだ? 日笠もそういうちょっとえっちぃ感じのプリクラとかって撮ってみたいとか思ったりするのか?」

「え……えっ!?」


 俺はそんな事を日笠に尋ねてみた。すると日笠は見る見るうちに顔が真っ赤になっていきだした。どうやらその雰囲気的に図星のような感じだった。


「え……え?? え、えっと、そ、その……た、確かにそういう事をするカップルもいますけども……で、でもそれはその……いや確かに私も男の子とそんなラブラブな事が出来たら幸せそうだなーって……羨ましがる事はあったりもしますけども……!」

「……あはは、そっかそっか。それじゃあ今度一緒にまた備品を買いに行く時があったらさ……そん時はついでにプリクラでも一緒に撮ってから帰ろうか? 日笠にいつか彼氏が出来た時のためにもさ……今の内にそういう練習でもしておこうか?」

「え……? そ、それって……その……!?」

「あぁ、もちろん。俺も日笠が相手なら、日笠の事を優しくぎゅってしてあげたり、キスの練習だって付き合ってあげるよ? ま、だから気軽に言ってな?」

「え……えぇぇっ!?」


 俺が笑いながらそう言うと日笠はさらに顔を真っ赤にしながら驚いた表情で俺にそう言ってきた。


「あはは、まぁだから気軽にいつでも言ってな? 日笠の頼みなら絶対に断らないしさ……って、おっと、もうそろそろお昼休みも終わるし早めにご飯食べちゃおうぜ?」

「え……えっ? え、えっと……あぅ……」


 俺はそう言いながら自分のお弁当を食べるのを再開していった。でも日笠は俺の隣で若干トリップしかけているようだけど……ま、でもすぐに現実世界に戻って来るだろ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る