第33話 幼馴染の初お泊まり④

「は、はぁ!? 何だよそれっ!? 絶対にハメじゃねぇか!!」

「はぁ?? 何言ってんの、全然違うでしょ! 誰がどうみても単純なメテオじゃないの! ってか、こんなのにすら対応出来ないで私をボコボコにするとか言ってたの?? ふふ、お可愛い事ですねー??」

「はぁ!? いや無理無理! マジで意味わからんって!!」


 姫子とは小学生の頃に一緒にやっていた人気キャラが全員集合して大乱闘するゲームの対戦をしていたんだけど、終始俺はフルボッコにされ続けていた。 いや確かに俺はそこまで強くはないとは思ってたけど、でもそんなのより姫子が異常に強くなってるって。 こんなん勝てるわけないわ!


「はいこれも私の勝ち! あはは、アンタ口が達者なだけじゃないのw」

「ぐ、ぐぎぎっ……!」


 という感じで終始ボコボコにされながらも大乱闘のゲームをずっと遊んで。 しかし気が付けばもう時刻は12時を過ぎていた。


「あはは、いやー楽しかった楽しかった。 って、あれ? もう12時過ぎてるじゃない。 時間もちょうど良いし今日はこれで終わりにしてさっさと寝ましょう」

「え? あ、あぁ……もうそんな時間か」


 結局今日は姫子に一戦も勝てずに終わってしまった。 まさかこんなにもボコボコにされるとは思ってなかったのでめっちゃ悔しい気持ちになっていった。 せめて一矢報いてやりたかったんだけど……まぁでも時間的にもう無理だな。 という事で俺はゲームの電源を落とし、そのままゲーム機を片付けていった。


「ふふ、それにしてもアンタの事を終始ボッコボコに出来て楽しかったわー。 それで? 布団出したいんだけど何処にあるの?」

「おい一言余計だろ。 あぁえっと、布団は……」


 予備の布団は俺の部屋の押し入れに入ってるのだけど……でもその時、俺はある事を閃いた。 そして早々に一矢報いてやるチャンスが来た。


「うん? どうしたのよ?」

「あぁ、いや実はさ……予備の布団は今クリーニングに出してるから家にないんだよね」

「は……はぁ?? じゃ、じゃあ私はどうすればいいのよ? まさか床で寝ろっていうの?」

「いやそんな事言うわけないじゃん、何言ってんだよ?」

「え? あ、そ、そうよね。 アンタなら言いかねないと思ってちょっと心配したじゃないの。 それじゃあ寝袋とかがあるって事よね? どこにあるの? 取りに行くから教えてよ」

「いや? そんな物もないけど?」

「は、はぁ? じゃ、じゃあ……私は一体何処で寝ればいいのよ?」

「あぁ、だからもう一緒に寝るしかないよな?」

「へ? 一緒に? アンタ何言ってんの?」

「いやだからさ、俺と一緒にベッドで寝ようって言ってんだけど?」

「は? ……はぁ!?」


 俺がそう言うと姫子は顔を赤くしながら大きな声を出してきた。


「い、いやいや! それだけは絶対に駄目でしょ! アンタ何言ってんのよ?」

「え? 何で駄目なんだ?」

「いやわかるでしょ! 若い男女が一つのベッドで寝るなんて……そ、それはその……!」

「え?? でも姫子言ってたじゃん? 俺相手には欲情とかしないってさ? って、えっ!? あれってやっぱり嘘だったのか??」

「は、はぁ!? い、いやそんなわけないでしょ! アンタなんかに欲情とかするわけないじゃない! で、でも実際にそういう事を実際にするのは道徳的にとか倫理的に駄目というかなんというか!」

「ふぅん? そんなもんかねぇ?」

「あ、あんた……何でそんなに他人事みたいな感じなのよ……? い、いいわよ、それなら私が床で寝るわよ! それでいいんでしょ??」


 姫子はそう言って立ち上がってきたので、すぐさま俺は姫子の事を静止した。


「いや姫子が床で寝るくらいなら俺のベッド使えよ。 俺が代わりに床で寝るからさ」

「な、なんでそうなるのよ? ここはアンタの家なんだからベッドはアンタが使いなさいよ」

「いやいや、家に来てくれたお客さんを床で寝させるわけにはいかないだろ? それこそ姫子がさっき言ってた道徳的にありえない行為だろ? なぁ、そう思わないか??」

「えっ……そ、それは……」

「な? やっぱり姫子もそう思うよな?? お客さんにそんな事させるわけにはいかないだろ?? だから俺のベッドは姫子一人で使えよ。 まぁその代わりに俺が床で寝る事になるけど……まぁ姫子は気にすんなよ」

「うっ……わ、わかったわよ! い、一緒に寝ればいいんでしょ! だ、だから床で寝るとか言ってないで、さ、さっさと一緒に寝るわよ!」

「お、そっか! わかったよ、じゃあさっさと寝ようぜ」


 という事で無事に姫子を陥落させる事が出来た。 いやそれにしても思いのほか姫子チョロすぎやしないか?? 何だか姫子は悪い男に引っかかりそうな気がして俺は心配だよ。 まぁ俺がその悪い男代表なんだけどさ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る