第23話 鹿島さんと桜井さん③

「ねぇ、やっぱりさー、知佳となんかじゃなくて私と遊ぼうよ?」

「え?」

「ちょ、ちょっと! 何でそんなに倉橋君の事を誘ってるのよ?」


 鹿島さんは楽しそうに俺の事を誘ってきたので、鹿島さんは焦った様子で突っ込んできた。


「えー? だってさ、私と倉橋君は価値観似てると思うし、それに倉橋君はえっちな事に興味あるんでしょ? それなら私の方が知佳よりも相性かなり良いと思うけどなー? 重くない男の子なら私は全然大歓迎だよ? それにきっと倉橋君もそんな感じの女の方が良いでしょ?」

「うん、それは確かにそう」

「え!? ちょ、ちょっと倉橋君!?」

「あはは、だよねー?」

「うん、まぁでもさ……」


 そりゃあ桜井さんとのエチは凄い気持ちよさそう(あくまでも童貞の想像)だから是非ともお願いしたいよ? でも俺は目の前にいるムッツリ童貞な女子とある約束をしていた事を思い出したんだよね。


「でもさ……俺、鹿島さんと約束したんだよね。 俺の童貞は鹿島さんが貰ってくれるってさ」

「え……? って、え!? ちょ、ちょっと倉橋君?」


 という事で俺は自分本位に生きる事はせずに、自分と同じムッツリスケベな童貞(女子)の夢を叶える方を優先する事にした。 というかこのまま何のケアも無しに桜井について行ったら鹿島さんの脳破壊エンドになる可能性もあるし。


「……ふぅん? でも倉橋君良いの? あの子色々と拗らせてるけどただのムッツリな処女だよ? 絶対に気持ち良く何て出来ないよ??」

「しょしょしょ処女ちゃうし!」


 桜井さんがそう言うと鹿島さんはすかさずそう突っ込んでいた。 いやその態度はどう見ても処じ……いやまぁいいや。


「はは、まぁ気持ち良いとか良くないとかは別にいいんだよ」

「ん、そうなの? でもそれじゃあさ、何で私じゃなくて知佳の方が良いのかな?」


 桜井さんは当然の疑問を俺にぶつけてきた。 なので俺は昨日のとある出来事を思い出しながらその返事を返した。


「あぁうん、いや実はさ……鹿島さんって俺の身体をエロい目で見てるんだよね」

「ぶっ!? ちょ、く、く、倉橋君!?」


 俺がそう言うと鹿島さんは顔を真っ赤にしながら盛大に吹き出した。 でも俺はそんな様子には気にせず話を続けていった。


「鹿島さんがそんな風に俺の事を見てるなんて知らなかったから凄いビックリしたんだよね。 でもさ、俺もエロい事には凄い興味があったから、鹿島さんが俺の身体がエロいって言ってくれたのは嬉しかったんだ」

「え……え!?」

「それに俺にとって鹿島さんはこの世界で一番最初に出来た気軽にエロ話が出来る友達なんだよ。 だから俺が初めてのエチをするとしたらさ、そんな気軽にエロ話をしながら盛り上がれる鹿島さんとが良いなって思ったんだ」


 俺がそう言うと鹿島さんは顔を真っ赤にしながら頭を抱えて悶えているようだった。 でも当然のように俺はそんな様子も無視して桜井さんとの会話を続けていった。


「だから桜井さんにはごめんだけど、今回は鹿島さんとの約束を守る事にするよ」

「ちぇー……うん、まぁしょうがないか。 今回は知佳の事を尊重して引いてあげるよ。 あ、でもこの子絶対にエッチ下手くそだからね? 漫画とか動画の知識しかないムッツリ女だから過度な期待しちゃ駄目だよ!」

「ちょっ! う、うるさいな!」


 桜井さんは笑いながら鹿島さんの事を盛大に煽っていた。 やっぱりこの二人の関係性は俺と姫子みたいな感じなんだな。


「あはは、それじゃあ負け犬はさっさと帰りますかね。 あ、今日の事は誰にも言わないから安心してね」

「あぁ、うん、ありがとう。 あ、でもちょっと待って桜井さん」

「んー? どうしたの、倉橋君?」


 俺は帰ろうとしていた桜井さんの事を慌てて引き留めた。 桜井さんは不思議そうな顔で俺の事を見てきた。


「あぁいや、桜井さんの言うめっちゃ気持ち良いエッチも凄い気になるからさ。 だからそれはそれで改めて誘って欲しいんだけど?」

「ちょ!? く、倉橋君!?」

「……ぷ、ぷはは!」


 いやもちろん桜井さんとエチな関係になれるなら当然なるよ? そりゃあ俺だって男だもん。 鹿島さんとの約束は守るけど、それはそれ、これはこれというやつだ。 俺は都合の良い男を目指してる訳だし。


「ぷはは、倉橋君は本当に面白い男だね! うん全然いいよ! 今は彼氏いなくてフリーだし、いつでも遊べるからね! あ、それじゃあ私ともライン交換してよ」

「あぁ、うん、もちろん!」


 そういって俺は桜井さんともライン交換をした。 今日だけで俺は鹿島さんと桜井さんの連絡先を入手する事が出来た。


「うん、ありがと! それじゃあ知佳とのエッチが下手くそ過ぎて楽しめなかったらいつでも呼んでね。 倉橋君のお誘いだったらいつでも行くからさ」

「誰が下手くそよ!」

「あはは、まぁ今日は大人しく先に帰るね。 それじゃあまた明日ね、倉橋君」

「あ、あぁ、うん、またね」

「じゃあ知佳もまたね。 ……あ、知佳、ちょっと耳貸して」

「う、うん? 何よ……?」


 そういうと桜井さんは鹿島さんの耳元に近づいて、俺に聞こえないように何か小さく耳打ちをし始めた。


「……(ひそひそ)」

「……っ!? うっさいな! 早く帰れっ!」

「あはは、わかったわかったよー! それじゃあまたね倉橋君!」

「あぁ、うん。 またね桜井さん」


 そう言って桜井さんは俺達の事を一瞥して教室から出て行った。


「最後に桜井さんに何て言われたの?」

「え!? い、いや何でもないよ!」


 最後に耳打ちされた内容が気になったので尋ねてみたんだけど鹿島さんには秘密にされてしまった。 んー、気になるけど、まぁ今はいっか。


(いやそれにしても中々に面白くてエロいギャルだったなぁ……)


 そんなエロい遊び人ともライン交換が出来たなんてかなり上出来なんじゃないかな? ……うん、よし! これからも俺の夢である“都合の良い男計画”を実現させるためにも全力で頑張って行こう!(意味深

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る