貞操逆転世界で都合の良い男を目指して頑張るわ。
tama
第1話 クラスメイトの鹿島さん①
俺の名前は倉橋葵。
高校二年生の男子生徒でサッカー部に所属している。性格はエロイけど童貞、以上だ。
「う、うん?」
そんなわけで今は授業終わりの昼休み。俺はオヤツの棒キャンディを口に咥えながら周りをキョロキョロと見渡した。
「あれ、貞操概念が逆転してね?」
俺がそれに気が付いたのはついさっきだ。
クラスで女子達がエロ本を読んでゲラゲラと笑っていた。そしてそれを男子がチラチラと見ながら「不潔だねー」とひそひと話してる。
女子生徒がふざけ合ってスカートを脱がせ合ってゲラゲラと笑っている。それを男子が偶然目撃しても女子達は全く動じない……いやむしろわざと見せてるような素振りだ。
そんなパンツを見せつけられた男子は顔を真っ赤にして走り去って行った。
「……なぁ雄二」
「うん? どうしたの葵君?」
「あぁ……はぁ!? お、お前、君付けとか一体どうしたんだよ?」
「え? 最初からずっと葵君って呼んでたじゃないか」
「え?」
「え?」
俺は友達の志摩雄二に話を聞こうとしたんだけど……なんかコイツも若干おかしくなってる。
だって今までは俺の事を名前を呼び捨てで呼んでたのに……いや、まぁ別に害は無いから気にしないでいいか。
そんな事よりも気になる事が他にある。
俺の目の前でスカートをバサバサと広げて可愛らしいパンツを何度も見せつけてくるこの女子生徒達についてだ。
(な、なんで皆恥ずかしげも無くパンツを見せてくれてるんだろう?)
し、しかも他の男子達はなんでそれをガン見せずに目を反らしてるんだ? 意味わかんないんだけど??
「な、なぁ、雄二。ウチのクラスの女子達ってさ……あんな感じだったっけ?」
「え? どうゆうこと?」
「ほら、なんというかさ……公共の場でエロイ事をしてるというかなんというか」
「あぁ、そういうこと? いや、そんなのウチのクラスだけじゃないでしょ。世の中の思春期女子達は皆あんな感じで下品じゃないか。葵君忘れちゃったの?」
「あ、やっぱりそうなの?」
やっぱりこの世界は貞操観念が逆転しているらしい。
でも周りにいる人達は俺の知ってるクラスメイトだし、友人の志摩もいるし……どういうことなんだろう? 概念だけ変わったってことか?
「うーん……? あ、夢か」
結局そういう事に結論付けて、俺はスカートをバサバサと広げてる女子のパンツをガン見しといた。
えっと、確かあの女子生徒の名前は……そうそう、鹿島知佳だ。明るい子だったのは覚えてるけど、そんなに話したことはないなぁ。
でも見知ったクラスメイトのパンツを無条件で見れるのはなんというか……めっちゃ楽しいな! 後でぼったくりな料金請求されたりしないよね?
「な、なにしてるの葵君!?」
「え? 何が?」
「女子のパ……パンツをじっと見てることだよ! そ、そんなの見るなんて不潔だよ!」
「え? いや別にそこまでエロくはないだろ? こんなの俺達にとっては前菜みたいなもんじゃないか?」
「な!? な、何言ってるの葵君! 君はそんな事いう男子じゃなかったはずだよ!?」
「え? ど、どういうこと?」
逆に俺の知ってる雄二はそんな事言わないぞ。一緒にエロ本や動画を見ながら毎日自家発電の素材を提供し合っていた仲なのに。
今だって無課金で鹿島さんの可愛いパンツが覗き放題なんだよ? 一緒に鹿島さんのパンツを見ながら感想を言い合おうぜ雄二よ!
「全くさ、あんな破廉恥な女子生徒ばかりで本当に嫌になっちゃうよね。皆子供過ぎるよ……はぁ」
「え……?」
「ねぇ、葵君もそう思うよね? 葵君は真面目で素直な子なんだし、変な女に引っかからないようにしないとだよ!」
「ま、まじめで素直……?」
や、やばい、俺の脳の処理が追いつかないんだけど。
「……な、なぁ、雄二さ……」
「うん? どうしたの?」
「変な事聞くけどさ……俺ってどういう性格だったっけ?」
「え!? ど、どういうこと?」
うん、そりゃそう聞き返すよなぁ。でも雄二の様子を見る限り、多分俺の性格全然違うんだろうな。
俺は普通にエロい事は大好きだし、エロいものを見るのも好きだし、読むのも好きだし、とにかくエロとつく事が全て大好きだ。ただし童貞だ。
なのに雄二の反応を見る限り、俺はそんな事は無いんだろうな。
「まぁとりあえず簡単にで良いから教えてくれよ。俺ってどんな奴だったっけ?」
「う、うーんと……まぁ一言でいうなら素直で真面目で優しい男子かな? あとは運動神経もいいよね」
「な、なるほど?」
優しいと運動神経は前から変わらないとは思う。元々サッカー部に所属してたから運動神経は良かったし、後輩の面倒見とかも良かったからさ。
でも真面目って何だ???
俺は勉強なんて出来ないし、頭の中はエロイ事で一杯だったぞ? それなのに……いや真面目って何なんだ?(二回目)
それに素直って……あぁいや、確かにエロスには素直だったわ。うん、まぁそれは納得だ。
でもせっかく貞操観念が逆転してるのに真面目な性格ってのだけは全く要らねぇだろ。もっと性欲全開で行けよ前の俺よ。
「あ、そういえば今日は葵君が日直だよね? 理科の先生が、日直の人は、次に使う道具を準備室から取ってこいって言ってたよ」
「え、そうなのか? そういえば今日の日直って俺の他は誰だっけ?」
「えっと、今日の女子の日直は鹿島さんだよ」
「え、マジで!?」
「うん、マジで。鹿島さんとだなんて最悪だね。あの子は不真面目だし下品だし、本当に僕達男子の敵だよね」
「い、いや、そこまで言わないであげようよ……」
どうやら貞操観念が逆転したら、鹿島さんの性格は元の俺みたいな性格になっているようだ。
志摩はどうやら鹿島さんみたいな下品な子は嫌いらしいけど、でも俺からしたらエロイ女子なんて最強すぎてヤバイだろ。それに鹿島さんって普通に可愛いしね。
「はぁ、本当にさ……他の女子達には、もっと倉木さんを見習って欲しいよね」
「うん? 倉木さんって?」
「え? 忘れちゃったの? 倉木静香さんだよ」
「いや、忘れてはないけどさ」
倉木静香とはこのクラスの図書委員で、三つ編みおさげにメガネスタイルで非常に寡黙な女子だった。
俺は倉木さんの方をチラっと見たけど、そのスタイルは変わらずに、黙々と読書をしているようだ。
あの子は貞操観念が逆転していても、昔と変わらない感じなのか。性格の法則性は無いのかもな……って、いやそもそも夢だろうから法則性もクソもないか。
「まぁいいや、じゃあさっさと準備室に行ってくるわ」
「うん。あ、良かったら僕手伝おうか? 鹿島さんがちゃんと手伝ってくれるかわからないしさ」
「いいや、大丈夫だよ。鹿島さんにちゃんと手伝ってもらうからさ」
俺はそう言って立ち上がって鹿島さんの方に近づいた。
「あははは! 鹿島っちさぁ! 今日のパンツ全然可愛くないじゃん!」
「うるさいなぁ! 誰かに見せるつもりで履いてきてないんだからしょうがないでしょ、ははは!」
「あーあぁ、でも本当になぁ……誰かに見せる相手でもいたらいいんだけどなぁ」
「鹿島っちみたいなドエロな女に彼氏なんか出来るわけないでしょ! こんなの相手にしなきゃいけない彼氏君が可哀そうだもん!」
「はぁ!? なんでよ、そういう皆だって彼氏いないくせにさ! 抜け駆けは無しだかんね!」
「あのさ……ちょっといい?」
「あはは……って、えっ!? く、倉橋君!? なんでここに!?」
「日直の仕事があるらしいからさ、鹿島さんに手伝って貰いたいんだけどいいかな?」
「え、私? あー、そういえばさっき理科の先生が何か言ってたわね……はぁ、メンドクサイなー」
「あはは、鹿島っちはめんどくさがりだなぁ」
「まぁ二人でやればすぐに終わると思うし、早くやっちゃおうよ」
「うーん……やる気がでないなぁ……あ、それじゃあさ、倉橋君さぁ……」
鹿島さんはニヤっと笑いながら俺の体を見つめてきた。
「日直の仕事頑張るからさぁ……だからご褒美にさぁ、倉橋君のおっぱい触らしてよ!」
そう言いながら鹿島さんはニヤニヤと笑いながら両手でおっぱいを揉む仕草をしていた。
あぁなるほど、志摩が言ってた通り……いや違う、これ女子版の俺だわ。まぁでも流石に現実の俺は異性にこんなセクハラな発言は出来ないけどさ。
「あはは、鹿島っち下品すぎでしょ! 本当にもう最高!」
「あはは! 倉橋君もこんな女無視しちゃっていいからね。あ、そ、それならわ、私が倉橋君の手伝いし――」
「おっぱいくらいで良ければ全然いいけど?」
「え?」
「え?」
「え?」
その瞬間鹿島さんとその周りにいた友達が止まった。
「うん? どしたの? もしかしておっぱい以上の報酬が欲しいの? まぁそれは後でいいか。ほら鹿島さん、さっさと準備室行くよ。先生に怒られたくないしね」
「……え!? あ、ちょ、ちょっと待って!?」
俺は動きが止まった鹿島さんの手をぎゅっと掴んでそのまま教室から出て行った。
その時鹿島さんの友達から「おい待てこの裏切者!」という声が聞こえた気がするけど……でも俺はその言葉を無視してさっさと準備室に向かって行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます