第一章:The Magic Blade

駄目爺ィ大虐待(1)

「貞子よ……よくぞ……ここまでの腕前に……さすがは我が孫だ……」

 妹が居なくなって7年。早い段階で、薄々、真実に気付いた私は、古武道の宗家だった母方の祖父に弟子入りをして、修行を積んできた。

 だが……その師である祖父は、人格的に色々と問題が有るクソ野郎だった。

「あの……お祖父じい様。『さすがは我が孫だ』って何ですか? 弟子入りする時に『これからは祖父と孫ではない。師と弟子だ』とか言ってませんでしたっけ?」

「そうだったっけ?」

「大体、私を孫だと思っていたなら、何で尻を触ったんですか?」

「え……と……その……」

 気付いた時には、私の腕前は祖父を遥かに上回っていた。

 私の尻を触りやがったこのクソ爺ィを容易くブチのめせるまでに。

 フザけやがるにも程が有る。私の胸と尻と貞操は……愛する妹の為だけに存在している。

「それは、それとして、いい機会ですので、聞きたい事が有るんですが……」

「な……何?」

「ちょっと待って下さい」

 そう言って、私は道場の壁に飾られている棒手裏剣を十本ほど手にした。

 棒手裏剣と言っても、要は針を大きくしたような代物だ。そこそこ以上の腕前の持ち主が打てば、畳を貫通出来るほどの太さと長さのモノを「針」と形容するのが適切かは置いておいて。

「お……おい……何を……」

「ちょっと……この先、他人を拷問する必要性も考えられるので、その練習を」

「まて、まて、まて……まってくれ……」

「お祖父じい様、私の師匠としての最後の仕事です。ちょっと拷問の練習台になっていただけますか?」

 私は右手に棒手裏剣の内の1本を持ち……左手で床に倒れている祖父の片腕を掴む。

「お……おい……待て……待て……待ってくれ」

「お覚悟を、お祖父じい様」

「ほ……欲しいモノは……くれてやる……あ……あれの場所を教える」

 やれやれ……。

 棒手裏剣で生爪を引き剥がす拷問の練習台には……他の誰かが必要なようだ。

「判りました。では、あれの場所まで御案内を……」

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