女子ボクシングショートショート
s-jhon
契約は果たした
レフェリーがゆっくりとカウントを取る。対戦相手がふらつきながら立ち上がり、こっちを睨み付ける。ついでに対戦相手のジムオーナーも。
ここでゴングが鳴って、インターバルになる。うちのトレーナーが耳元で囁く。
「なぁ、おい。例の約束、おまえ納得してくれたんじゃなかったのか……!?」
「分かってるって。アタシが負けりゃいいんだろ。ちゃーんと契約は守るさ」
最終ラウンドのゴングが鳴る。対戦相手が悪態をつきながら突っ込んできた。軽く躱してパンチを見舞ってやる。ふらついたところにワンツーブロー。そして思いっきりフック!
対戦相手のデカブツはフラフラだ。……ま、自分ところのボクサーがこんな体たらくじゃ、あっちのオーナーも金でも使って八百長持ちかけなきゃやってらんないだろうね。
バキッ!
アタシのフックがデカブツの脇腹にめり込む。デカブツはマウスピースを覗かせて目を白黒しているが、意識はしっかりあるようだ。
「テ……メ、ェ……!」
「ハッ!ちゃーんと勝たしてやるぜ?」
ドムッ!バゴッ!ドスッ!
デカブツをロープ際に追い込み、ボディーにパンチを叩き込む。デカブツの脳を揺らして意識を断ってしまう心配はないし、倒れようとしても倒れさせない。
試合終了のゴングが鳴る。判定はもちろん相手の勝利。ちゃーんと勝たせてやったんだから、金の支払い忘れんなよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます