ずるいよ…後輩のくせして

闇野ゆかい

第1話普段の会話

「茜先輩は羨ましがってますけど、良いことなんてないですよぅー。ビッチだなんだと騒がれるだけですよ。シたことなんてないのにぃーですよ……まったく、はあぁ〜」

呆れたようにため息を漏らし、肩を竦める人物——来栖三奈くるすみなは深刻な悩みだと言いたそうな表情をこちらに向けている。

「ビッチだなんだって言われるのは嫌だけどさぁ……モテないよりモテた方が良いじゃん。モテる後輩には分かんないだろうけど……」

「いやいやっ!モテたくないって言ってるんじゃなくて……ってこの話題、不機嫌になるんだからやめません?」

「うだね……ああぁああぁーーッッ!三奈ちゃんみたいなナイスボディが欲しかったよぉぉぉ〜!三奈ちゃんに生まれたかったぁぁ〜〜!」

虚しくなった恵南茜えなみあかねは椅子の背もたれに全体重を預けて天井を仰ぎながら、願望を叫び続けた。


校舎を抜け、下校中の二人の女子高生。

「不貞腐れた先輩ってめんどい……」

「うっ……仕方ないでしょ。自覚してるよ、めんどい女だって……ふんっ!」

「ああぁ〜もうぅ〜……機嫌直してよ、先輩。昨日の続きしますからぁ〜っ!」

お手上げだというような仕草を見せる後輩の来栖。

「えっ!嘘じゃないよね?してくれるんだよね、続き?」

「えっ……あぁーっと、し〜ぃまぁ……すよぅー」

「騙そうとした?三奈ちゃん、どうなの?」

「だっ騙そぉーなんて……そんなことぅ……」

来栖が狼狽え出した。

「してくぅー?してくれぇー?」

言わそうと誘導する私だった。

「……しますぅぅっ!しますから許してぇえぇ、茜先輩ぃーっ!」

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