【1シチュエーションノベル】仕事で疲れていじけてたら彼が甘やかしてくれて、癒やされとろけるしかありません【甘やかし】

雪月華月

第1話 仕事で疲れていじけてたら彼が甘やかしてくれて、癒やされとろけるしかありません

 んんー、どうしたん、ベッドに行って


 めっちゃ布団に潜り込んで、顔だけ出して、キシャーって、何……猫ですか……


 あー……あれですね、うん……疲れてるやつですね


 わかるよ、君って見かけによらず我慢強いから、そのくせ疲れてるって気取られたくないから、変な行動に出がち。


 彼は息を吐きながら語りかける。


 ……図星かな、へにょとしちゃって……どうしたの、教えてよ……ああ、はいはい、もっと近づかないとね…


 彼がベッドのへりに座る。

 まったくもって、彼の言うことは図星だ。普段は人に弱いところは見せたくないし、できれば笑ってもらいたいと考えてしまっている。それでも所詮私も人間なので、辛い時はある、顔を上げられないこともある。だが私のややこしいところは、そんなギリギリな状況でも、奇行をしてしまって、人を戸惑わすところだ。



 どうしたの? って、いきなり聞いても答えるわけないか。


……えー、わかるよー、何年付き合ってると思うの


 なんかさ、ボロボロだったよね……帰って、君を見た瞬間に気づいたくらい。


 髪の毛、ちょっと乱れてるしさ……顔に疲れてますって書いてたよ……あ、こりゃ、仕事でなにかあったなって思っちゃった


 普段はざっくばらんな態度で、ぼんやりしてるんじゃないかって思うところもあるのに、なんだかんだで私をしっかり見ているのだなって感じると、心の奥底から湧き上がるようなむず痒さを覚えた。


 あれ、ちょっと顔が赤いような……


 はいはい、これ以上言ったら、君に怒られそう


 ねえ、ぎゅっとしていいかな


 その質問は逆に困るなぁ……なんでと言われたら、そうしたいってしか言えない


 彼が布団に潜り込んできた。ニコニコしている。


 へへ、ありがと……えー、子犬みたいって……そんなことないから……よっと……


 はー、落ち着く、落ち着く……


 そりゃ君の隣だから仕方ない……


 あのさ、彼女の隣が落ち着かなきゃ、一緒に住まないよ

 

 家で緊張したくないしね……


 だけど、今日の君はちょっと冷たいね……肌が


 こんなに冷えてたっけ……


 はあ……うなじに息をかけても、温まらないね


 あ、ばれたか、そうだね、君の弱いとこなので息をかけました


 彼女の弱いところは、イジるポイントでしょ……

 

 だっていいところなんだし、お互いにメリットあるよ


 それに……ぞくぞくしちゃったときの君って、びっくりした猫みたいで、マジで可愛いよ……


 彼は私をひときわ強く抱きしめる。

 少し息苦しいくらいだ……けして逃さない、離さないという意思すら感じられる。その強い意思が気恥ずかしく、彼の愛情を強く伝わってきた。


 ……ねえ、どうして、そんなにくたびれてるの


 んー、そろそろ聞きたくて……だって気になる


 どうしてかなーって、俺に何が出来るかなーって、思うよ


 そこで疑問に感じないでよ、何故って顔に書いてるよ。


 当たり前でしょ、ちょっとは俺の気持ちを考えて?


 大事だから、心配してるんだってば


 君だからって、やつだよ……


 なんか改めて言うと、恥ずかしいな、これ……


 彼の声には少し照れが入っていた。

 一生懸命に言葉を考えて言ってたんだなってことが、伝わって……私はぎゅっと目をつむる。私がくたびれただけで、ここまで心を砕く人はいないとおもう……嬉しくて、心の妙なこだわりが解けていくのを感じた。


 ぎゅっとしてきたね……はいはい、離れませんよ


 はは、俺は結構どころじゃなく一途ですからねぇ


 うん……君の話はなんでも聞くよ


 ふんふん、なるほどねぇ……力仕事してたんだ、ほぼ一日中なの、それって助けてくれるひといなかったの? ……そっか、いなかったんだ……辛いと言うか、精神的にクるやつじゃん


 我慢しきったんだ……すごいな、よくやったよ……男でもへこたれそうなのに


 はは……君らしい、負けずぎらいだもんな……弱いところを見せなくて……でも、俺の前でも負けず嫌いじゃなくていいんだよ


 君の真面目さも、負けず嫌いも、ちょっと変わった行動に出るところもわかっているから、今だけゆっくり息を吐いて


 泣いたって、俺は誰にも言わないから……


 彼の声が心の弱いところに染み渡っていく。

ずるいほど、優しい声だ。私の弱さを許してくれて、甘やかされいるような気分になるけど、この人の声だけは素直に受け入れられる。結局彼氏という存在に弱いのだ、私の存在に弱い彼とおあいこかもしれない。


 なんで、髪を触っていると言われると……落ち着くからじゃ、、ダメかな


 撫でたり、頭をぽんぽんしたり、指で梳いたりするの好きなんだよ


 他の女にやるかっての、ソレ出来る距離感ってやばいでしょ


 君がいるからやらないよ……君が一番触り心地がいい


 そうなんだ、結構痛みやすいんだね、全然知らなかった


 まあ、キレイな髪の毛は好きだけど、そうか、なるほど……努力してくれたんだ……


 ふんふん、なるほど……へぇ……って、にらまないでよ、別に何も考えてないよ


 すっごい、うれしくて、たまんないだけ


 めっちゃ愛されてる気分になるな


 そんな君にどうお返し、すればいいのか……


 彼は耳元に口づけるように囁いてきた


 じっくり考えなきゃね、どこをどうすれば、君が喜んでくれるか、いっぱい試さなきゃ


 暴れてもダーメ、俺の腕の中に君がいるってこと、わかってる?


 しばらくは、離す気ないからね……

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