十二月の風になりたい少女

 目は白く、瞳は青く。

 劈くような雷鳴が。

 君の脳内で乱反射する。

 美しく輝く少女は。

 鬱くしい国の中で駆ける。

 空を泳ぐ風になりたい少女は。

 大きなトラックに轢かれて死んだ。

 そのトラックに影響はなかった。

 虹色に輝く夢ばかりを見ている。

 鈍色の空を見上げている。

 傘もささずに探している。

 電信柱に吊られたカラスや。

 ゲロを吐いたハゲ面の男。

 老婆の吐いたトマト。

 それを踏みつぶしながら、少女は歌った。

 雨の粒を飲み込んだ。

 太陽は雲に隠れていた。

 それでも少女は歌った。

 七つ目の曲がり角を曲がるころ。

 その少女は歌った。

 笑いながら歌った。

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