やがて天上へ至る

 いつもこうして動いている。

 私の中でああ、暴れている。

 いつ出てくるのだろうか、ああ。

 動いている、動いている、蠢いている。

 機を織るかのように、蠢いている。

 絡みつく草を断ち切るように、湿気を消し去るように。

 縫うように、泥のように。蠢いている。

 押しつぶされそうになって、溺れてしまいそうになって。

 生くてぬるくて、とてもとても、死んでしまいそうになる。

 それはここでただひたすらに待っている。

 悪魔のように待っている。

 陽が沈み次第月は現れ、沈んだ陽は火に溺れる。

 蠢いているんだ、開花しそうで仕方がないんだ。

 花が咲きそうで仕方がないんだ。

 燃えているようで仕方がないんだ。

 もう止められないんだ。

 蠢いているんだ。

 もう駄目だ、私はもう駄目だ。

 右手が足が、左足が手が、私はまるで蠢いている虫のようだ。

 のたうち回ることすらできないかもしれない。

 もう無理だ、もう駄目だ。

 蠢いていて、仕方がないんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る