27
「……こんなんでどうでしょう」とケイコが言った。
「ふむ」と天使が言った。「採用」
「きゃー!」ケイコが言った。「いえーい!」
「ケイコ、がんばります!」ケイコが敬礼した。
「よろしく頼む」天使は二本指で敬礼した。
「天使さん、天使さん」
「なんだい」
「空飛べるの?」
「これか?」折り畳んでいた翼をワイパーのように振った。「まあね」
「すご!」ケイコが言う。「飛んでみせて!」
天使はその場で浮いてみせた。
「ほおおおおおおお」ケイコはたまげた。「超すげえええええ」
天使は降りた。
「それより」と天使が言いかける。
「天使さん写真撮ろ!」とケイコが言う。
「…写真はNGでね」だが、ケイコはすでに自撮りの画角調整に入っていた。
カシャ。カシャ。カシャシャシャシャシャシャシャ――連射。
深く息を吐く天使。
「あだ名は?」とケイコが言う。「天さん?」
「……」と天使が言う。「それはもういるな」
「じゃあ天ちゃんだね」
「え」と天使が言う。「ああ」
「それより」と天使が言う。
「明日病院に行ってきなさい」
「なんで?やだよー」
「残された時間は…」と天使が言いかける。
「やだし」とケイコが言う。
天使は仕方なく病院についていった。
レントゲンを撮らす。
手の骨はまだら模様だった。
「……おっ!」とケイコは言った。「……きれい」
天使は片手でゆっくりと頭を抱えた。
「なんに使うの?」
「ん」と天使が言った。「ぶっ飛ばしたいやつがいてな」
天使、何飲むの?
ギュイーンと鳴らす。 ああ、その音はコーラね。
天使、ここもっとギター抑えない?
ピキィーンとピッキングハーモニクス。 ああ、嫌なのね。
天使っ。
飛行機のジェット音のようなピックスクラッチ。 ごめん何でもない。
ねぇねぇねぇと、内緒話のようにケイコに捕まる。
「天ちゃんてさ」とケイコが言う。「だいぶナルシスト強めだよね」
…今さら!?
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