転校生が昔両片思いの女子だった 〜ただしそのことを友達に話しちゃった〜
@husiohe
第1話 昔との再会オワター
無機質な初期設定のスマホのアラーム音がオタクグッズ以外机と椅子くらいしかない殺風景な部屋に響き渡る。と同時に少女が
「お兄ちゃん、お兄ちゃん」
「あと・・・10分だけ」
「お兄ちゃん、って早く起きろや」
兄、
「おい、ちょマジで痛いんだがやめてもらえるか?」
「なら起きろ。」
「わかった、わかったからさっさとどけ、ってやべぇ!」
「だから言ったのに」
朝食はおろか身支度をする余裕もなかったが
なんとか入学式に間に合った。
他の生徒は入学式が終わってからは廊下に張り出される新しいクラスの書かれた貼り紙に釘付けである。しかし、蒼とはいうと、今日から配信された新作ゲームでランキングを上げることに夢中だった。(我ながらこんな大切な行事の時にゲームするとか重症だな)
まあ、結局はどの教室にいかなければならないのか知る必要があるので人が少なくなり近づけるようになる頃に自分の名前を探した。
(えっと・・・俺はっと・・・6組か)
そして6組の教室で簡単な学校の構造の説明や教師の自己紹介、教科書の配布などを終えて解散となった。解散後は、生徒それぞれ周りの者に話しかけ友情を育んでいた。蒼も流石にゲームをやめて教室で浮かないようにその中で話していた。その努力もあって一通り仲良くなることができ、男子はほぼ全員名前と顔を覚えたし女子も七割くらいは覚えた。
(珍しく俺の才能が役立ったな)
その中でも特に仲の良い友達が二人できた。
それが
「なあ、ド直球で悪いんだがお前イケメンだからもてるだろ」
「いや、全く」
蒼は笑い飛ばして信じられないものを見る目で政次を見た。
「ほんとだって。」
「そうなのか?」
「じゃあ、裕成はどうなんだよ」
「俺?フッ…自慢じゃないがモテる。チョコは年に20はもらえる」
裕成は政次ほどではないがどちらかというとイケメンの部類の人になる。けどモテるほどかと言えるとそうでもない。
「人に聞くお前はどうなんだよ」
蒼は嫌そうに答える。
「…俺はモテないよ」
「そうなの?」
「だって俺の顔って悪くもイケメンっでもないじゃん」
「俺からみれば裕成よりイケメンの政次の方がモテないのが変なんだが」
この一連の会話はねじれているように感じるがこれはあくまで容姿の話。政次はイケメンで性格も悪くはないが運動神経が悪くこれはこれで学校で上位の方である。さらに、たまに無神経な発言をするため女子人気はあまりないのだ。(本人はじかくがないようなので言わないであげよう)それに対して、裕成は顔はそこまででもないが、運動神経抜群(おそらく学年トップテン)、成績優秀(学年16位)なことが入試の時にみたので蒼は知っていた。と思考していると二人が駅に入って行ってしまった。蒼は二人に別れを言うとそそくさと家に帰るとすぐに部屋に戻りラノベを読み漁り始めた。
(久しぶりにちゃんと話したから疲れたな…)
「あぁ…寝ちまったのか」
今日は時間に余裕を持って起きたのでゆっくりと支度をすますと家を出ていつも通り自転車で登校する。
その頃、学校の教室で生徒が仲良く会話していた。
「確か今日は転校生が来るって聞いたんだが」
「かわいい女子だったらいいな」
「んな理想みたいなことがそうそうあるもんか」
「「だよな」」
そして時がすぎ蒼も学校に着き教室の友達の会話に入っていると担任の教師が入ってきた。
「ええー、転校生を紹介をする」
教室のあらゆる方向から興奮したような声も聞こえる中ドアが開く。
「はじめまして」
そして、女子は大半が呆気に取られ、男子はガッツポーズをするもの中には雄叫びをあげるものもいた。そのわけは言うまでもない。
その転校生がとんでもなく美しくかわいい美少女だったからだ。しかし、一名だけ愕然とした表情のものがいた。それが蒼だった。
また、蒼を認識した転校生も一瞬顔が引き攣り体が硬直したがすぐになおした。
この転校生、蒼は顔を見てすぐに気づいたというか気づかないわけがない。彼女は昔、蒼が好きだった女子であり彼女もまたバレンタインチョコを渡した身として忘れるわけがない。状況としては両片思いだった。それだけならいい、しかし蒼はやらかしてしまっている。いつだったかそれを恋バナの場で全て話してしまった。その中にいた者のせいで中学校が同じだったものは彼女を知らなくとも名前と出来事は広まってしまった。蒼はこれが彼女自身に伝わることを懸念したのだ。
(オワター)そう意識を飛ばして現実逃避するのだった。
転校生が昔両片思いの女子だった 〜ただしそのことを友達に話しちゃった〜 @husiohe
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