第9話彼の面影

私はシングルマザーで女手一つで息子を育てている。いつも辛くて苦しくて、でも息子が手伝ってくれるとやさしかった彼を思い出す。どうして私を捨てたの?息子はそんな儚げで消えそうな瞳をした母を見て、俺に任せろって言うと、母は泣き崩れた。親父のことを聞けなかった。きっと知らないほうが幸せなんだとね。

ハンカチを母に私、自分を叱りしっかりしなくちゃ子供を守るんだとほっぺを自分でひったたく。この子たちのために私は生きてるんだと、息子の背中は何故かその彼に被り、また目が潤う。

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