摂食障害と生きる

@milkjambutter

第1話 摂食障害までの道のり


身長160cm、体重75kg。

これは高校生の時の私。


そう、小学生の頃から高校生までの学生時代

私は”デブ”だった。


痩せ型の母と兄、父は太っていて私はそちらに似たのだ。


家庭は裕福な方で、お菓子が常にたくさん家にあり、外食も多かった。


学生時代、某有名女装タレントのあだ名がついた。


その時からもちろん痩せたいとは思っていた。


しかし、痩せることより美味しいものを食べたい方が強く、食べても運動したらいい。

その程度で、結局デブの領域を抜けることはなかったのである。


食べることが大好きだった私は、高校を卒業すると就職を選んだ。


職業は、調理師。


専門学校も通わずに地元のレストランで下っ端をやりはじめた。


忙しく厳しい世界での毎日、朝ご飯も食べず誰よりも早い時間に出勤、昼の賄いも食べずにひたすら勉強。

日付が変わる頃に帰宅すると、疲れ果てて眠りに落ちる、そんな日が続いた。


一日に口にする食べものは味見での数口程度、

摂取カロリーはおそらく300kcal以下。


75kgあった体重は2カ月程度で52kgに落ちた。



161cm、52kg、いわゆる標準体重というやつだ。



私はやっと”デブ”じゃなくなった。


家族、職場の人達は急に痩せて心配してくれたが体重が軽くなり動きやすくなったこともあり、元気だった。


久しぶりに会う人達からは、羨ましがられ、今まで言われたこともなかった”かわいい”と言う言葉に私は完全に調子に乗っていた。


今思うとこの時もう、摂食障害という沼に片足を突っ込んでいたのだと思う。


しかしこの時はまだ普通に食べられていた。


仕事に慣れはじめ、楽しくなってきた頃、

朝は軽くおにぎり、昼は賄いを適量、夜はスープなど軽めの食事をとり、眠る。


しばらくあまり食べない生活をしていたので、胃の容量も小さくなり満足出来るようになっていた。



このまま、これで良かったのに。

そう思うことがある。




数年、この平均体重で比較的充実した日常を送っていた私はたったひとつの出来事で、



抜け出せない沼に落ちていくことになる。




次回に続く。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る